批判的思考などの『ソフトスキル』が足りないと頭を悩ます雇用者たち

履歴書の内容は申し分なく、職務内容をこなすのに十分なスキルがありそうだ。そう判断して採用した部下が、一緒に働いてみると、どうもdifficult to put one’s finger on(正確に把握しにくい)。対人関係が下手、愛想が悪い、常識がない、計画性がない、コミュニケーションが不十分――。米国人マネジャーなら、少なくとも一度はこんな経験をしたことがあるだろう。定義しにくいこうしたスキルはsoft skillsと呼ばれる。仕事に直結する知識や技術を指すhard skillsとは対照的だ。
記事によると、ソフトスキルは最近、米国の雇用主らにますますsought after(求められている)が、全国の採用担当によれば、明快なコミュニケーション、問題解決におけるイニシアチブ、同僚と仲良く仕事をする技能などのソフトスキルを持った応募者は逆に見つかりにくくなっているという。
こうしたtrait(特質)は、standout(飛び抜けて成績が良い)従業員と、just gets by(最低限のことをこなしている)従業員の違いの理由となることが多い。ソフトスキルは以前から雇用主にとって魅力的だったが、経済構造の変化にともない、さらにcrucial(重要)になっている。多くの企業はroutine task(定型業務)を自動化したり外注したりしており、従業員はそれ以外の、より広範な責任を担う必要が生じている。従業員はcritical thinking(批判的思考)やempathy(相手の感情を理解できる能力)など、コンピューターにまねできない能力を持たなければならない。
どんなソフトスキルが必要とされるかは、業界や社内の地位で異なる。レジの担当者なら、顧客と世間話をすることかもしれない。マネジャーなら、きつい締め切りの下でプロジェクトを完成させるため、複数の部署を調整することかもしれない。学術的調査によると、すべての給料レベルにおいて、最も雇用が成長している職務はcognitive skills(認知技能)とソフトスキルの両方を必要とするものだという。
理想的な社員を追求するために、多くの企業は応募者の性格のquirk (特徴)をteasing out(見つけ出すこと)に時間とお金をかけている。試験などの選別法を開発するためにindustrial psychologist(産業心理学者)を雇ったり、研修プログラムをbeef up(強化)したりするのが一般的だ。
記事によれば、ソフトスキルの高い人材を見つけるのが難しくなる一方で、企業が求めるソフトスキルの基準が高くなってきているのではないか、との説もあるようだ。
いずれにせよ、ソフトスキルはコンピューターでは代行できない人間の核となるスキルなので、今後もますます需要が高まっていくことだろう。
(8月30日付 ウォールストリート・ジャーナル紙)