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世界の食を訪ねて

硫黄の煙がうみだす妙味 温泉タマゴが彩るイースター

[第14回]マイケル・ブースの世界を食べる



photo: Kitamura Reina



キリストの復活を祝うイースターは、タマゴが脚光を浴びる年に一度の祝祭の日。

今年、筆者が思いをはせるのは、別府の温泉地で出合ったあのタマゴです。



出身地のとっぴな慣習や奇妙さを自覚できるのは、自らの文化から離れ、どこか旅に出たときぐらいだ。これこそ旅が啓示的たる理由の一つだろう。いわゆる「欧米」文化のことを、どんどん冷ややかな、往々にして困惑した目で見るようになっている私だが、日本側の視点から見たときなど、それは特に顕著である。


たとえばキリスト教徒が先月、厳密にいえば16日の日曜日に祝ったイースター(復活祭)。日付は毎年変わるが、春分後の最初の満月の日の次に来る日曜日、とされている。これ自体がおかしな話で、キリストの誕生を祝う日は毎年決まっているのだから、彼の復活の日も毎年同じじゃだめなんだろうか?


とはいえ、かのお方の2000年前の受難がいま、伝統的作法によりたたえられていることを思うと、暦の上の矛盾などささやかなものだ。タマゴ形チョコレートを買い、交換して、食べる。大きさもさまざま、中がスカスカだったり、ぎっしりだったり、タマゴに似せた色味のフォンダンや、さらに小さなチョコがいくつも出てきたり。私にもし、イースター的体験があったとしたら、ランチにタマゴ形チョコレートを食べすぎて気分が悪くなったことだろうか。


もちろん、イースターを祝うツールがずっとタマゴ形チョコレートだったわけではない。もともとは、ニワトリのタマゴをとりどりの色や模様で彩っていた。誕生と再生の象徴であり、時節をとらえてもいたのだ。ただ、どんなに美しく着色されていようとも、昨今のイースターで本物のタマゴを差し出されたら、若者はさぞ盛大に立腹するだろう(私だってそうする)。しかし、この本物のタマゴこそ、最も素晴らしい食材ではないだろうか。そう、誰もがタマゴげるほどに……(このギャグは撤回しません)。




(次ページへ続く)

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