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世界の食を訪ねて

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年始の誓いか、おせち作りか マイケル流、新年の迎え方

[第10回]マイケル・ブースの世界を食べる




総合格闘技なみに危険な餅つき、

目に美しく、甘さと辛さが同居するおせち料理。

日本の正月の伝統を知った筆者は、新年の迎え方を変えることにした。

不確定な時代にこそ、料理の力が求められている—。



幸運にも私は昨年、日本における新年の伝統を知ることとなった。キネとウスを使う昔ながらの餅つきや、おせち料理だ。


まず衝撃を受けたのは餅つきの危険性。総合格闘技やフリークライミングに並ぶ世界王者級といえる。高々と振りかざされる木づちに頭をかち割られる人がいそうなものを。私にとってはミステリーだ。


同じミステリーでも、悲劇的かつ一見避けられそうなのが、餅による高齢者の窒息死だ。ニュースで聞かない正月はないが、私にはいま一つ理解できなかった。自分自身が雑煮に入った餅を食べて死にかけるまでは……。ただでさえのみ込むのに労力のいる(でもおいしい)コメの塊が汁に浸かり、のどごし良く供されるなんて、なんたる愚行。何かひと目でわかる警告サインのようなものがあってしかるべきだ─花火とか!


おせち料理を囲むに至るまでの、途方もない仕事量と技術力にも驚かされる。ありとあらゆる食材と下ごしらえを要する、複雑怪奇で入り組んだ料理なのだ。その準備段階における技と時間を、料理をする者として心から評価したい。遅くとも正月前日に作られることで、一家の調理担当(たいてい母親)に正月休みくらいひと息ついてもらえる、という伝統も理にかなう。準備にこれだけ手がかかるのだから、その「ひと息」もプラマイゼロになりそうだが……。とはいえ、それだけの価値はある。世界で最も目で見て楽しい料理の一つというべきおせちの、なんという壮観!


金箔、黄色い栗、ピンクと白のカマボコと色彩に富み、祝祭ムード一色だ。器が漆塗りなのもあでやかだし、その中に甘いも辛いもみな、身を寄せ合っているのはキュンとくる。



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