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壁がつくる世界

赤く染まった「デスマップ」 野生保護区で遺体が急増

3週間で白骨化 18年間で2800体見つかる

「デスマップ(死の地図)」。そう呼ばれる地図が米国とメキシコ国境の「壁の世界」にあります。砂漠で見つかった遺体の場所を赤い点で示したものです。真っ赤に染まったその地図は、移民が追い詰められていく様子を映し出していました。(GLOBE記者 村山祐介)


NGOヒューメインボーダーズのホームページよりGLOBE作成



作っているのは、米アリゾナ州ピマ郡検視局と、移民のために約50の水タンクを設置するNGO「ヒューメインボーダーズ」。移民とみられる遺体が見つかった場所や日時、状態、性別、氏名などの詳細をデータベース化し、赤い点で示した地図をネット上で公開している。私はNGOの給水活動に同行した後、この州トゥーソンにある事務所を訪ねた。



代表のダイナ・ベア(66)はデスマップを前に切り出した。「この2年間で最も気がかりなことは、移民がどんどん西側の奥地に向かう傾向があることです」





とりわけ増えているのが、過酷な自然環境のカベッサ・プリエタ国立野生保護区。3年前まで遺体は年に数体だったが、今年は10月末までに31体に達した。デスマップを年ごとに比べてみると、遺体を示す赤点が集中してついに黒色になり、山麓に沿って点々と並んでいた。ベアは「美しい場所ですが、最も死の危険が高い地域です。水は険しい山の中にしかなく、衰弱した移民には登れません」と指摘した。





周辺に二つ置いていたタンクを七つに増やすなど、対応を急いでいる。「壁と警備隊を前に、絶望した移民は『より遠くに行けばつかまらない』と思ったのでしょう。でも、死ぬ危険もはるかに高いのです」



砂漠で見つかる遺体が急に増え始めたのは2000年のことだ。ピマ郡でそれまで年に十数体だった遺体が、68体に急増した。キリスト教や仏教など地元の宗教指導者が対応を話し合って、ヒューメインボーダーズを創設。移民のために水タンクを置く活動を始めた。

その後も年に百数十体の遺体の発見が続き、00~17年の累計で約2800体に達している。



砂漠で何が起きているのか。




実際に遺体と向き合ってきたピマ郡検視局長のグレゴリー・ヘス(46)によると、死因の多くは異常高熱や熱射病、脱水症、そして冬場には低体温症。こうした「過酷な自然」にさらされたことによるものが4割を占める。



一方で、一番多いのは「判別不明」だという。



「ここはアリゾナです。あまりに暑く、乾燥し、コヨーテや鳥もいる。ものすごい早さで白骨化が進み、3~4週間もあれば、ほぼ骨だけになってしまうのです」



(敬称略)


「命の水」を届ける人たちのストーリーはこちらの記事に。


実際に壁を越えた移民の証言はこちらの記事に。


GLOBE10月号と「Abema x GLOBE」の壁特集の全編はこちらから

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