RSS

デザイン思考が変える

川上浩司(京都大学デザイン学ユニット特定教授)

「不便益」の使い方




本編1のpart2に出てくる「不便益」という考え方。不便だからこそ得られる効用にはほかにどんな事例があるのだろうか。京都大学デザイン学ユニットの川上浩司特定教授に教わった実践例の中から、すぐにでも使えそうなアイデアを紹介すると――。


photo:Nakamura Yutaka


まずは「ブレストバトル」。企画を練ったり、アイデアを出したりするためのブレーンストーミングと呼ばれる会議の進め方を「不便益」の視点から修正したものだ。たとえばこんな手順になる。


①会議の参加者を2チームに分ける②チーム内で話し手の順番を決める(10分)③両チーム一人ずつアイデアを発表してもらうたびに挙手でどちらが面白いか軍配をつける(発表は一人1分)④すべての発表が終わったら、最優秀賞を決める⑤バトル中に出てきたアイデアをみんなでくっつけてみる。以上だ。


ブレストは「お互い批判をしない」だとか「質より量を大切に」といった原則があるが、実際には無視されがちだ。そこに目をつけた。川上教授は「先輩は後輩の意見をつい批判したり、部下は上司の目を気にしたり。よくしゃべる人がいる一方で、しゃべらなくてすむ人が生まれる。そんな状況を解消するために、あえて時間と対戦形式という二つの制約をつけて不便にしてみたのです。コトのデザインといってもいいでしょう」と話す。盛り上がるほどアイデアもより自由に発想できるかも、だ。




「不便益」を広く世に普及させるために、「不便益」を簡単に見つける方法も川上教授らは開発している。上に掲載した「不便益カード」がそれ。黄色のカードが「不便にする方法12種」で緑色のカードが「不便益8種」だ。使い方は、便利なものを見つけたら、黄色のカードを使って不便にしてみる。その結果、緑色のカードにあるどれかの「不便益」に該当すれば「成功」というわけだ。


川上教授は「便利で益があるもの。それを不便にすることから『不便益』は生まれるのです。しかし、こんな便利で益のあるカード、不便益を唱える私が作ってよかったのでしょうか(笑)」と話している。


「不便益」についてもっと詳しく知りたい方は「不便益システム研究所」へ。


(中村裕)





この記事をすすめる 編集部へのご意見ご感想

  
ソーシャルブックマーク
このエントリーをはてなブックマークに追加
Facabookでのコメント

朝日新聞ご購読のお申し込みはこちら

Information | 履歴・総合ガイド・購読のお申込み

Editor's Note | 編集長から

PC版表示 | スマホ版表示