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人工知能を愛せますか?

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人工知能と暮らす未来へ

1月8日に発行するGLOBE新年第1号、巻頭特集は「人工知能を愛せますか?」です。爆発的な進化を遂げようとしている人工知能(AI)と、ともに暮らす未来を考えます。(GLOBE記者・左古将規)

シンガポール南洋理工大学のナディア・タルマン教授とAIロボットのナディーン


今から5億4300万年前のカンブリア紀。生物は大きく進化しました。現存する動物のほぼすべての種がこの時代に出そろったと言われています。生物学者はこれを「カンブリア大爆発」と呼びます。


人工知能(AI)は今、それと似たステージにいるのかもしれない――。AIに詳しい東京大の松尾豊・特任准教授は昨年10月のシンポジウム「朝日地球会議」で、そんなたとえ話を披露しました。


生物学者アンドリュー・パーカーの著書『眼の誕生』によると、爆発的な進化の秘密は「眼」にありました。原始三葉虫が「眼」を手に入れたことで、えさを捕まえる確率が飛躍的に高まりました。逃げる側は自らを守るために、硬い殻で体を覆う必要に迫られました。生物は「視覚」を手に入れたことをきっかけに、さまざまな方向へと爆発的な進化を始めたというのです。


今まさにAIも「視覚」を手に入れつつあります。


グーグルとスタンフォード大学が2012年に発表した「ネコ認識」がその先駆けでした。インターネットの動画サイトから無作為に取り出した1000万枚の画像を何のヒントも与えずにAIに分析させたところ、共通の特徴を持つものとして「ネコ」の画像を抜き出すことに成功したのです。


今のAIはさらに進んで、自分で画像を描くこともできるようになりつつあります。「空を飛ぶ自動車」を描くように命じれば、そのとおりのイメージを出力します。インターネットを検索してどこかから似た画像を見つけてくるのではありません。AIがゼロから自分で画像をつくり出せるようになったのです。


それはつまり、「私たちが小さい頃、お話を聞きながら頭の中に情景を浮かべていたのと同じことが、AIにもできるようになりつつあるのです」と、東京大の松尾氏は力説します。


「眼」を手に入れたAIは、自動車を運転し、農作物の収穫もできるようになるでしょう。介護ロボットも実現するかもしれません。「眼」で学習して「情景を思い浮かべる」技術を駆使すれば、言葉をしゃべったり、外国語を翻訳したりする能力が飛躍的に伸びる可能性もあります。

オムロンが開発したAI搭載の卓球ロボット

AIは昨年、囲碁で世界最強棋士の1人を破って大きな話題になりました。一方で、進化するAIに人間の仕事が奪われる恐れも指摘されています。AIが運転する車が街を走るようになれば、新たな交通ルールが必要になるかもしれません。


AIが活躍する未来に向けて、法的な課題を研究している慶応大の新保史生教授は、「AIが進化すれば、今までの法的な概念が根本的に変革を迫られる可能性もある。進化した技術を実際の社会でうまく活用するために、どんなルールが必要か、議論を始めるべきだ」と指摘します。AIをめぐる議論は今、技術者だけではなく、法学や経済学、哲学などの分野にまで広がっているのです。そんな議論の一部を今回の特集でご紹介します。



ある場面では人を助け、ある場面では人を脅かすかもしれない人工知能。その未来は未知数です。あなたは人工知能を愛せますか?

シンガポール科学技術研究庁が開発中の自動運転車(車内)
 

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