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大人って何だろう?

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大人になる条件とは?/日本編






大人って何だろう? 取材で出会った人たちに、「大人になる条件」について尋ねてみました。




出口治明(67) ライフネット生命保険会長兼CEO

社会のある部分を見れば、確かに許せない矛盾が山ほどあります。だけど、大人であろうとすれば、同時に「社会全体を見渡した時に、そこそこうまくいっているかどうか」という視点も忘れてはいけないと思います。


社会の実相というのは、往々にして「個別に見ればいびつな要素だらけであっても、それらが集まって補い合い、全体としてはおおよそバランスが取れている」というものだからです。


 

「子ども」というのは、「身近にある矛盾が許せない」という正義感だけが先に立ってしまい、全体への目配りが欠落している人のことでしょう。逆に、「全体がうまく行っているのだから、細かいことに目くじらを立てるな」というのは「悪い大人」だと思います。


「身近な矛盾を忘れない」という地を這う視点と、「全体としてうまく行っているか」という俯瞰的な視点の双方を持つのが、よい大人の条件だと思います。社会全体のことだけではなく、組織についても家族についても、それは言えるのではないでしょうか。






若新雄純 「キュフレの会」を運営する慶応大学大学院特任助教

大人の条件、あるいは「完成した大人」や「完成した社会人」といったモデルは時代とともに変わる。


戦後社会からの概念は、正確性があるとか、模倣がうまいとか、金太郎アメ的なものが重視されてきた。社会全体が貧しい時代にはわかりやすいモデルだったと思うが、「どうすれば豊かになる」「どうすれば幸せになる」とは単純には言えない時代になり、そうしたモデルがなくなってきた。


長期的に考えて、今は「寄り道すべき時代」だと思っている。寄り道や遠回りが必要なんじゃないかなと思っている。「完成した大人」にならなきゃいけないっていう押しつけや思い込みがまずいんだと思う。


今はモデルを探すことよりも、模索することの方が大事だと思う。


なのに、これが「大人」のモデル像だ、って論壇で言われたりする。それがまた「うざい」んだと思う。モデルは当事者が模索しないとわからない、というのが次のモデル。専門家が「次はこうだ」といったことを言うから若者は迷ってしまう。


僕はニートだけの会社を運営しているが、彼らに「こうするといいよ」というのを示唆するのではなく、彼らがひたすら試行錯誤する場を作り続けている。 






川本恵太(30) 「キュフレの会」をつくった起業家

大人の条件は「自由」であること。でも自分はまだ大人になっていないかな。大人になっちゃダメな気がする。若者に対して、「今の若者は」みたいな距離の置き方をしたくないから。いろんな経営者がいるが、「大人」になっていない経営者が多い。経営者は長所も短所もダイナミックで極端な人たちが多い。すごく優れていても、振り幅が大きい。だからこそ魅力がある。年を重ねれば重ねるほど常識みたいなものにとらわれてくるとは思うが、その常識をわかったうえであえて「非常識」にしている人たちが経営者には多い。つまり「少年の心」を持っている人が多い。だから、大人になろうとしなくていい気がする。





                              

堀真一郎(72) 「きのくに子どもの村学園」学園長

できるだけ自分のことを考えて自分で決める、という誇りを持った人だと思う。それにはつらい思いをしなくちゃいけないかもしれない。それでも英教育学者ニールの言葉で言えば、「自分自身の生き方をする」。それには当然、誇りが伴う。「自分で考えて決める」というのは、練習しないとできないことだと思う。いきなり「決めなさい」と言われても困る。へまをしても失敗してもいいから、やってみる環境を子どもの時に用意しないといけない。それが今は、子どもが一所懸命考えるという大事なところを大人が奪ってしまっていると思う。


20歳で成人になる、というのは平均寿命が50歳の時代の話。人生80年の今は、30歳まではいろいろやり直したらいい。成熟していくには時間が必要だと思う。





                                


クリス・ニコルズ 

「きのくに子どもの村学園」ボランティア英語講師/英国の元小学校教師

ニコルズ夫妻


リスクをとれるようになること。信頼できる大人はリスクをとれる。逆に、リスクを嫌う人は社会にとってまったく害悪だ。リスクをとらなければ、学びはない。

  

スージー・ニコルズ

「きのくに子どもの村学園」ボランティア英語講師/英国で放課後の子どもたちを教えていた


人は失敗や成功から学び、成熟してゆく。そうして責任感を身につけてゆく。責任を持つというのも大人になることだと思う。





                               

斎藤環(53) 精神科医

精神医学的には「欲求不満耐性」と「コミュニケーションスキル」が備わるかどうかが大人の条件。つまり、願望がかなわない、不愉快なことが起きている、といったことをどのくらい我慢できるかと、情緒を伝達し読み取るスキルがあるかどうかです。


日本の若者の未成熟形態は、わかりやすく言えばオタクとヤンキー。オタクは我慢強く、欲求不満耐性が高い。その代わりコミュニケーションスキルが低い。情報は伝えても、情緒は伝えられない。相手の情緒も読まない。このスキルが低い分、我慢を強いられて生きているとも言える。一方、ヤンキーはものすごいコミュニケーション巧者。その代わり、我慢がきかない。コミュニケーションが得意な人は何でもコミュニケーションで解決できるため、我慢する必要がない。だからキレやすかったりする弱点がある。その意味で、この二つがバランスよく成熟できたら大人だと私は考えている。   



(取材・太田啓之、藤えりか)







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