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ロシアの流儀

[Part2]「プーチンは優秀な広報マン」 アレクサンドル・ドゥーギン(思想家)に聞く


ロシアを動かす論理とは何なのか。プーチンの愛国路線を支える代表的な右派の思想家で、欧州各国で台頭する右翼政党にも大きな影響力を持つアレクサンドル・ドゥーギン(56)に聞いた。



アレクサンドル・ドゥーギン photo : Komaki Akiyoshi

ロシアの社会には「人々共通の利益」という考え方があります。それはすべてに勝り、常に個人の利益よりも優先されます。共産主義がそうであったように、今ではなく「将来の利益」が想定されることもあります。その場合、人々は将来のために喜んで今を耐える。永遠の利益があるなら、永遠に耐えることすらいとわない。そして、人々は、共通の利益を保証してくれる指導者には、その引き換えに、ほとんど「非合理的」としか言えないほどの信頼を注ぐのです。


プーチン大統領の場合の「共通の利益」とは、伝統への賛辞や国家への誇りを国民に与えること。加えて、大多数の人々の生活条件を整えることです。どれも、国民全体のコンセンサスと言ってもよいでしょう。


プーチンは極めてプラグマティックな政治家なのです。社会が愛国主義を欲するから、彼はそれを与える。保守主義を欲するから、それを与える。もし社会がリベラリズムやポストモダニズムを求めれば、それを与えていたと思います。本質は「社会の鏡」であり、「優秀な広報マン」と言ってもよい。本物の独裁者だったスターリンとは全く異なります。


「強く独立したロシア」が求められるから強力な新兵器を示し、クリミアを与えた。クリミアを編入しなければ、プーチンは今権力の座にいなかったでしょう。選択の余地はなかったのです。


私は、プーチンは本来はリベラルであり、西側のシステムに加わりたかったのだと思います。しかし西側が断った。第2次大戦で勝利した我々は世界の秩序形成に参加する権利があると思いますが、西側は「ない」と考えたのです。西側からの圧力に気づいた人々は、元々プーチンが気にくわなかったとしても、彼を支持するようになる。社会正義がなかろうが、経済成長がなかろうが、そんなことはどうでもよくなるのです。


(聞き手・駒木明義)


(文中敬称略)


「世界を敵に回していいのか」に続く) ※5月7日公開予定です。


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