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私の海外サバイバル

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[第128回]トルコ暮らし「気楽さ」は必須@イスタンブール

安達智英子

翻訳家

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安達さんがトルコに移住するきっかけとなった民家が残るサフランボル

トルコの世界遺産の街・サフランボルの民家に魅せられて留学し、伝統的な民家を研究してきました。家具は備え付けで、共有スペースが広い。裕福な家庭には夏の家と冬の家がある。同じ家でも夏と冬で使う部屋が違う。もともと遊牧民ですから、移動することにためらいがない。

トルコ民家の魅力を伝える、安達さんの著書や翻訳本など

そのままイスタンブールに居着いて24年。民家研究はお金にはなりませんから、翻訳や通訳をしてきました。会議や式典の同時通訳、起訴状や判決文の翻訳、日本企業のマーケティング調査のお手伝い、いろいろやってきました。

エルドアン政権を揺るがした昨年のクーデター未遂事件で観光客は激減しました。日本からの観光ツアーもゼロに近く、観光業などに携わるトルコ在住の日本人には将来への不安から帰国する人も出始めました。カッパドキアもガラガラのようです。すでに進出している日本企業は踏みとどまっています。私の仕事は企業中心なので、一時は落ち込みましたが、最近は持ち直してきました。

日本製品はいかんせん高くて売れません。携帯電話もアイフォーンかサムスンばかり。日本以外の人々は、多少品質が落ちても低価格のものを求めていると強く感じます。一方、防災、省エネ、環境などの分野のシステムやノウハウを提供する日本企業への関心は非常に高いです。

もともと遊牧民のトルコ人は、来るものは拒まず。内戦や紛争の続く地域から移民が押し寄せます。私が移住した当初、イスタンブールの街にはボスニア人があふれていました。その後、コソボ人、アフガニスタン人、そして今はシリア人。地下鉄に乗ると、アラビア語があちこちから聞こえます。

地中海に面したリゾート地・アンタルヤでは、裕福なトルコ人男性と結婚するロシア人女性も増えています。街のあちこちでロシア人女性のパワーをすごく感じます。トルコとロシアが対立し、ロシアでトルコ人を閉め出す動きがあった時も、トルコでは排斥運動はまったく起こりませんでした。どんなに失業率が高くなっても、排斥運動は起きない。トルコのいいところです。

トルコで仕事をする上で困るのは、すぐに安請け合いすること。「できます」といっても、本当にできるのかしっかり見極めないと危ない。

幼稚園で安達さんから折り紙を習う子どもたち

日本人は「こうあるべきだ」「こうしなければならない」「こうしないと村八分になる」という強迫観念が強いですが、トルコ人にはそれがまったくない。気楽です。強迫観念から抜け出せない日本人は、トルコではすごく苦しんでいる。私も「人は状況によってころころかわるものだ」ということをトルコ暮らしで学びました。

私は毎週、小学校や幼稚園で折り紙を教えています。こちらの子どもたちは折り紙がほんとうに苦手。山や三角を折るのも大変。鶴なんて難易度が高すぎます。まねが本当に苦手。大人も同じですね。




Adachi Chieko

あだち・ちえこ/1967年、東京生まれ。イスタンブールで娘2人を育てつつ、翻訳・通訳を広く手がける。トルコ民家の研究家でもある。



(次ページへ続く)
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