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長江のほとりで無農薬のコメづくり @無錫(中国)

私の海外サバイバル 更新日: 公開日:
広大な田んぼには古墳も点在する。除草は手作業だ

私のON

中国・長江の下流域にある無錫の郊外で、無農薬の日本米を育てています。ゼロから農業に挑戦したいという中国人の実業家と意気投合し、現場の農場をまかされました。

従業員は中国人6人。草取りなどで近所の農家の力も借りています。中国語は話せないのですが、実際に作業をして見せて、筆談をすれば何とかなります。一番大切なのは11時からの昼食時間をしっかり守ること。少しでも遅れると、みんな不機嫌になるんです。食卓には、農場で育てたニワトリやアヒルが並びます。土のよい無錫でとれたほうれん草などの葉もの野菜もやわらかくて、おいしいです。

土壌汚染の心配はありません。周囲は古墳が残る自然公園のため、工場などが立っていないのです。ただ、農地は日本と比べて整備されていません。泥沼になった田んぼに、人の背丈ほどのタイヤを持つ耕運機が沈んでしまい、動けなくなることもしばしばです。

今年は、東京ディズニーランドほどの広さの50haにコシヒカリとミルキークイーンの苗を植え、コメ170トンを収穫しました。除草剤を使わないので、日本の平地の半分ほどの収穫量です。売価は2キロで260元(約4940円)。高価なため駐在している日本人でも買う人は少なく、お客さんはほとんどがお金持ちの中国人ですね。

私のOFF

無錫の人たちは人なつっこいんです。帰宅途中、路上にテーブルを出して宴会をしている見知らぬ人たちに呼び止められ、一緒にお酒を飲むこともあるんですよ。私が日本人だと分かっても気にしない。みんなが持ち寄った白酒や料理をごちそうしてくれるんです。農場の周りには運河が巡っています。釣りが趣味なので、余裕が出てきたら、釣り糸を垂らすつもりです。

(構成 GLOBE記者 小山謙太郎)

こんどう・たけお

1978年、大阪府生まれ。運送会社や大阪府箕面市の公園管理事務所に勤めた後、知人の紹介で2013年に無錫へ。日本では仕事の傍ら、休耕田を借りてコメを作っていた。