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産油国で人脈づくり 違う流儀に戸惑い @ドーハ (カタール)

私の海外サバイバル 更新日: 公開日:
ドバイから戻る機中から撮影したドーハの人工島「ザ・パール」 Photo: Inoue Yuichi

私のON

天然ガスや原油といった地下資源を中心に急激な経済発展を遂げるカタールの首都。建設ラッシュで高層ビル群が立ち並び、世界で最も発展の速度が速い都市ともいわれる。人口約79万。

産油国のカタールに今年3月に開設された事務所で働いています。妻と子ども2人を日本に置いて、初の海外赴任。中国などの新興国の台頭もあり、原油確保の競争は激化していくことが予想されます。独自のネットワークで原油を調達していくためにも、産油国側と同じカレンダー、勤務時間でリアルタイムの意思疎通をする必要が高まっています。ランチなどをともにしながら、国営石油会社の関係者らと会い、原油生産に関する考え方などを聞いています。

事務所開設のため、ドーハに来たのは昨年夏。文化や習慣の違いには戸惑うばかりです。

特に政府とのやりとりでは苦労しました。仕事のスピードが日本と違うので、開設許可に関する書類審査にとても時間がかかる。一時は、役所の担当者のところに毎日、押しかけました。英語とのニュアンスが違うので、アラビア語の書類をつくるのも一苦労でした。

日本から来る幹部らとの会談などをすっぽかされたことも。駐在員の私のメンツは丸つぶれ。そんな事態を心配しなくてもいいように、頼れる人脈をつくるように心がけています。

一方で、日本の基準で考えるからストレスを感じるのかもしれないとも考えます。当初はカタールの人たちを「ドライ」だと思いましたが、いまは「面倒見が良くて温かい」と感じています。

私のOFF

自宅のアパートから見える広大で美しいアラビア湾(ペルシャ湾)にいやされています。夏は気温が50度を超える日もありますが、過ごしやすい冬などは海沿いを散歩します。1カ月もすると、新しいビルや道路が次々とできていく。急速な発展を肌で感じられます。飛行機で1時間足らずのドバイで日本の週刊誌などを買い込み、刺し身やすしを食べるのも息抜きの一つです。

(構成 GLOBE記者 杉崎慎弥)

いのうえ・ゆういち

1966年、兵庫県生まれ。92年にモービル石油(当時)に入社し、潤滑油の開発などに携わった。赴任期間中に、砂漠を巡るツアーに参加することを楽しみにしている。