RSS

NPO法人「CANVAS」理事長 石戸奈々子が教育界に新風を吹き込む「21世紀の新たな学び」


秋も深まった11月7日夕。あちこちに黄色い落ち葉が積もる東京大・本郷キャンパスで、「プログラミング教育の最初の一歩」と題したシンポジウムが開かれた。パネル討論の司会を務める石戸奈々子(38)がマイクを握ると、客席を埋めた現役教師や教育産業の関係者ら約180人が熱心に耳を傾ける。約15年前から日本のプログラミング教育導入に取り組む彼女は、関係者のハブ的な存在だ。


「人工知能(AI)や様々なものがインターネットとつながるIoTの時代。子どもたちに重要な学びとは、デジタルを使いこなしてコミュニケーションや創造力を育むことです」


石戸はさらにこう続けた。「子どもにとって粘土やクレヨンがあるように、プログラミングもある。プログラミング『を』学ぶのではなく、プログラミング『で』学ぶのです」。プログラムを作成する技術を学ぶのではなく、論理的な思考や独自の表現を培う手段の一つとして、プログラミングがあるというわけだ。


日本の教育現場は2020年度から、本格的なデジタル時代を迎える。小学校でプログラミング教育が必修となり、紙の教科書の内容を電子データ化した「デジタル教科書」も使えるようになる。デジタルの補助教材と組み合わせれば、英語の発音を聞いたり、関連する動画を見たり、学びの幅が広がると期待されている。石戸は、日本の教育界にデジタルの新風を吹き込もうとする仕掛け人の一人だ。


子どもたちがパソコンやネットを使って独自の表現をしたり、世界中の子どもたちとつながって新たな創造力を生み出したり——。石戸が理事長を務めるNPO法人「CANVAS」は、そんなデジタルの世界と子どもをつなぐ活動を続けてきた。02年の立ち上げ時に石戸を誘った、慶応大大学院メディアデザイン研究科教授の中村伊知哉(56)は、彼女をこう評する。「突進力がある。でも、何かぼやーんとした、ある種の緩さもある。みんなの声を聞いてから調整して進めるタイプだから、業界のおじさん連中が集まっても何となく彼女に動かされる」


だが、石戸がCANVASにたどり着くまでには、本人も予想しなかった道筋と出会いを経ることになる。



(次ページへ続く)

この記事をすすめる 編集部へのご意見ご感想

  
ソーシャルブックマーク
このエントリーをはてなブックマークに追加

Popular article | 人気記事

さらに記事を見る
Facabookでのコメント

朝日新聞ご購読のお申し込みはこちら

Information | 履歴・総合ガイド・購読のお申込み

Editor's Note | 編集長から

PC版表示 | スマホ版表示