Q&A
制度の意義
里親制度とは?
それぞれの事情で親と離れてくらすこどもたちが、日本には約4万2千人います。そうしたこどもを自分の家庭に迎え入れ、様々なサポートを受けながら、温かい愛情と正しい理解をもって育てる制度です。
親と暮らすことのできないこどもはどんなところで生活しているの?
乳児院や児童養護施設などの施設や、里親家庭やファミリーホーム※で生活しています。現在、より多くのこどもたちに家庭と同じような環境を提供できるように、里親家庭やファミリーホームで生活するこどもを増やすことを目指しています。
※里親が養育の手伝いをしてくれる人と一緒により多くのこどもを養育する家庭のこと
どうして里親家庭やファミリーホームが必要なの?
こどもには成長の過程で、信頼できる特定の大人との間で愛着関係を築くことが必要です。そんな安心できる関係の中で他者との関わりや将来自分が築く家庭のモデルケースを学んでいくことができます。里親家庭やファミリーホームでは、そこで暮らす里親の元で信頼関係をはぐくんでいくことができます。
養子縁組との違い
養子とはどう違うの?
法律上も自分のこどもとして迎え入れる養子※とは違い、里親は一定期間自分の家庭でこどもを養育する制度です。親子になるわけではありませんが、実の親が育てることができない間、こどもの成長を支える大事な存在です。
※日本では実親との親子関係も残しながら第三者との親子関係を結ぶ普通養子縁組と、こどもの福祉のために実親との法律上の親子関係を解消して養親と法律上の親子関係を結ぶ特別養子縁組があります。一定期間とはどのくらい?
こどもの状況により様々です。成人して自立するまでのこともあれば、こどもが家庭にもどるまでの期間のこともあります。長期間であっても短期間であってもこどもにとっては家庭と同じような環境で生活できることは非常に重要です。
里親の種類
里親にはどんな種類があるの?
里親には、さまざまな迎え入れ方があり、4つの種類があります。
- 養育里親:原則18歳未満のこどもを、家庭に戻るまでの間や自立するまでの間、養育します。期間は1年以内の短期それ以上の長期の場合もあります。
- 専門里親:養育里親のうち、虐待、非行、障害などの理由により専門的な援助を必要とする子供を養育する里親です。
- 養子縁組里親:養子縁組を結ぶことが前提です。養子縁組が成立するまでの間、里親として一緒に生活します。
- 親族里親:実親が死亡、行方不明などにより養育できない場合に、祖父母などの親族がこどもを養育する里親です。
その他にも、自治体独自の取り組みとして、季節里親、週末里親があります。
季節里親、週末里親って?
週末やお正月・夏休みなどの長期休暇に、数日から1週間ほど、施設で暮らすこどもを家庭に迎えます。平日はこどもとの時間が取れない人や、最初から長期で養育するのが不安な人などに向いています。自治体独自の取り組みなので、名称や事前研修の有無等、自治体によって運用が異なります(例:東京都「フレンドホーム」、横須賀市「ボランティアファミリー」)。
里親になる条件
里親になれる条件は?
特別な資格や条件は必要ありませんが、基本的な4つの要件が定められています。くわえて、こどもを適切な環境で健やかに養育できるかという観点から、年齢や収入、健康状態、家の広さなどについて自治体独自の要件を定めている場合もあります。
■基本的な要件
①要保護児童の養育についての理解および熱意と、児童に対する豊かな愛情を有していること
②経済的に困窮していないこと
③養育里親研修を修了したこと
④里親本人またはその同居人が欠格事由に該当していないこと
<欠格事由>
- 成年被後見人又は被保佐人(同居人にあっては除く。)
- 禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなるまでの者
- 児童福祉法等、福祉関係法律の規定により罰金の刑に処され、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなるまでの者
- 児童虐待又は被措置児童等虐待を行った者その他児童の福祉に関し著しく不適当な行為をした者
経済的に余裕がある人しかなれないの?
里親としてこどもを養育することに対する手当や生活費、教育費など養育に必要な費用が自治体から支給されます。生活に困窮していないことなどの要件はありますが、裕福でなければなれないということはありません。
養育する際に支給される費用はこちら >
独身だとなれないの?
こどもを適切な環境で健やかに養育できるかという観点から評価されるので、独身だから一律に里親にはなれないということではありません。
都道府県によっては、養育を支援してくれる成人の同居人がいることや、保育士等のこどもの養育に関する専門的な資格を有することを要件としているところもあります。
同性同士で暮らしているとなれないの?
同性同士で暮らしているから一律に里親になれないということはありません。こどもに適切な養育環境を提供できるか、という観点から評価されます。
こどもを育てたことがある人しかなれないの?
子育て経験がなくても、里親になることは可能です。子育てに必要な知識は、研修で身に付けることができます。
年齢制限はあるの?
養育可能な年齢であるかどうかを判断するため、一律の年齢制限を儲けている自治体は少ないです。特別養子縁組里親については、「25歳以上50歳未満」や「親と子の年齢差を40歳~45歳に制限」等の年齢制限を設けている自治体もあります。
実子がいてもなれるの?
実子がいても、里親になることは可能です。同じ家庭で暮らすチームの一員として、実子とは充分に話し合い、理解や合意を得ることが必要です。
共働きでもなれるの?
こどもを健やかに養育することができるのであれば、共働きでも里親になれます。仕事中は保育園を利用することも可能です。
こどもは何人まで委託を受けられるの?
こどもは4人まで委託でき、実子等を含めると6人までとなります。実際にはお住いの住居の広さ等を考慮し、こどもの養育に適切な環境であるかという観点から決められます。
里親手当
養育に必要な費用は補助してくれるの?
こどもを育てるために必要な生活費、教育費、医療費などが支給されます。
里親手当
1人あたり 9万円/月
+
生活費
乳児以外 約5万2千円/月
乳児 約6万円/月
※その他、教育費や医療費、防災対策費なども支給されます。
登録手続き
登録までどういう流れなの?
詳細は下記をご覧ください。
こどもを迎え入れるまでの4ステップ >
どこで登録するの?
お住いの地域の児童相談所で登録します。
里親になると決める前に相談してよいの?
里親に興味がある、関心がある段階から、ぜひ相談してみてください。児童相談所や里親支援機関が開催する里親説明会に参加してみると、先輩里親の体験談や詳しい制度の説明を聞くことができます。
こどもの希望は出せるの?
希望を児相相談所がうかがうことはできます。希望・ご事情をうかがいながら、委託するこどものおかれた環境や気持ち・個性を尊重し、こどもの立場にたって、どの里親家庭に委託するかを決定します。
こどもを迎え入れる準備は何が必要?
迎え入れるこどもは年齢・性別・状況等さまざまです。委託に至るまでには、施設での面会から数時間の外出・外泊を重ねる交流の期間が設けられますので、その期間にこどもの年齢や状況にあわせて、児童相談所と相談しながら、こどもにあった準備をすることが必要です。
こんな時どうするの?
困ったらどこに相談するの?
委託されているこどものことで困ったことがあれば、児童相談所に相談してください。必要に応じて医療機関や関係機関等と連携し、ともに解決策をさがします。
また、普段通っている保育園や学童、療育機関やかかりつけ医等、こどもの成長を共有しているところであれば、より気軽に安心して相談することができます。
里親会等でつながる先輩里親に、悩みや愚痴を共有することも、良い機会です。
失敗したらどうしよう
不安に感じていることがあれば、児童相談所や里親支援機関に、なんでも相談してください。まずは地域の子育てボランティアに参加したり、季節・週末里親等の短期里親からはじめてみる、等できることからはじめてみることもおすすめです。無理せず、ご自身のペースで進んでいってください。