明るく聡明(そうめい)なキャラクターで、テレビでもおなじみのSHELLYさん。プライベートでは、2人の子どものお母さんとして子育ての真っ最中。そんなSHELLYさんは里親制度について、「事情を抱えた子どもも、社会で自然に育てていけるような世の中になってほしい」と話す。
———SHELLYさんは里親制度のことをご存じでしたか。
里親制度については、さまざまな事情で家族と離れて暮らす子どもを、一時的に預かって自分の家庭で育てる制度であることを調べて知りました。ああ、こういう制度があるんだって。一時的に子どもを預かるという点が特別養子縁組と違うところですね。
———どのような印象を持ちましたか。
日本は、お父さんとお母さんがいて、子どもは2人いて……のような型にはまった家族のイメージが強すぎる気がします。そこから少しでも外れると「かわいそう」と思われがち。しかし最近では同性カップルやシングルマザーなど、いろいろな家族のカタチがテレビCMで描かれるようになりましたよね。こういう発信はとても大切だと思います。いろいろな家族のカタチがあって当たり前だし、誰かが幸か不幸かをジャッジすることじゃない。里親制度もシームレスに受け入れられて、事情を抱えた子どもも社会で自然に育てていけるような、世の中になってほしいですね。
———「社会で育てる」という言葉がありましたが、SHELLYさんがそのように思えるきっかけ、影響を受けた人はいますか。
今思うと、やはり父親の影響ですね。父は常に誰かの役に立てるように行動する人。コミュニティーをとても大事にしています。私の小さいころ、父がずっと支援している児童養護施設がありました。父はバーを経営していたのですが、お客さんに「お釣りの小銭は寄付してよ」と気軽に声をかけたりして、集めたお金を子どもたちのために使っていました。児童養護施設の先生も子どもたちのために、懸命に愛情を注いでいたように記憶しています。ただ先生も時には数十人の子どもを担当すると、どうしても一人ひとりに向き合う時間が限られてしまうことがあるかもしれませんね。そのような面からみても、家庭という環境の中で子どもを育てていく、里親制度の重要性は理解できます。
———SHELLYさんも2人のお子さんがいらっしゃいますが、何か子育てで大切にしていることはありますか。
これは本当に、夢のまた夢というか、今はとても無理ですが、いつか私も里親制度に参加してみたいというか、誰かを家族に迎えられたらいいなと思っています。だからその時になって子どもたちに、「えーっ」って言われないためにも、家族のカタチや愛のカタチをテーマにした絵本を読み聞かせています。私は家族に血縁は関係ないと思っているんです。血のつながっている親子でも、どうしてもうまくいかないことがあるし、さまざまな事情から子どもを育てられない親もいるはず。里親になる側も、子育てがしたくてもあきらめている人がいると思います。シングルでも外国籍でも里親制度は参加できると聞きました。このように受け入れる側の間口が広いことも、もっと多くの人に知ってもらいたいですね。
———実際に里親制度に参加している人をどう思いますか。
もうリスペクトしかないです。本当にすばらしいと思います。きっと私には分からない悩みや、子どもと生活してみるとたくさんのハプニングもあるはず。家族になるまでの段階って、とてもきついこともある。だから、できるだけ相談できる人を周りに作って頼ってください。今はSNSもあるので、行き詰まった時には同じ立場の人同士で交流してみるだけでも、気持ちが楽になるのではないでしょうか。
———最後に、里親に興味のある人、このインタビューで初めて里親制度を知った人に、メッセージをお願いします。
興味があっても里親になるのは勇気がいることだと思います。まずは、子どもを愛してあげたいという気持ちに素直になって、一度養護施設などを訪れて会ってみるのもいいかもしれません。それで無理だと思えば、それでいいんです。今日ここで里親制度について興味を持ってくれた人がいたなら、さらに深く検索してみるなど、何か一つでも行動していただけたらうれしいですね。
SHELLY・シェリー/1984年、横浜生まれ。アメリカ人の父親と日本人の母親を持つ。ラジオのDJ、NTV「今夜くらべてみました」「ヒルナンデス!」などバラエティー番組への出演のほか、情報番組のキャスターや司会としても活動。2児の母。2020年末から自身のYouTubeチャンネル「SHELLYのお風呂場」にて性教育に関するコンテンツを配信中。
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