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深まる謎 銃撃された韓国人漁業指導員は北朝鮮に行こうとしたのか?

東亜日報より

9月27日12時5分ごろ、全羅南道木浦市の海洋水産部西海漁業管理団の専用埠頭に漁業指導船ムグンファ10号が入港した。北朝鮮の銃撃で亡くなった漁業指導員李さん(47)が乗船していた船舶だ。

李さんは最近3年間、ムグンファ13号(700トン)で働き、14日、499トン級、長さ62.7メートル、幅9.4メートルのムグンファ10号に乗ることになった。李さんは発令の日、ムグンファ13号で働いていた。ムグンファ13号は9日に木浦を出港し、延坪島の近くで漁船の指導監督をしていた。

李さんは17日、延坪島海域に来たムグンファ10号に海上で乗り換え、勤務を始めた。西海漁業管理団漁業指導船は延坪島海域で指導監督をする場合、10日間海上勤務をする。李さんはムグンファ10号で働き始めて5日で失踪し、銃撃を受けた。25日に無事に帰港していたら、17日間海上勤務をしたことになる。

李さんが海上勤務の延長を自ら願い出たのは経済的な理由からのようだ。乗組員たちは海上勤務をした場合、陸地勤務よりも手当が3~4倍多くもらえる。彼が家長として経済的な問題を解決するために勤務の延長を願い出たと見られる。同僚の乗組員たちは「李さんは手当も多くもらおうと進んで延長勤務をしたようだ。そんな人が越北(北朝鮮に行くこと)するだろうか」と首をかしげた。

ムグンファ10号の双子の船と言われるムグンファ29号が9月26日に停泊し、内部が公開された。李さんが銃撃を受ける前、夜間の当直勤務をした操舵室は船首から30メートルほどの位置にある。3階建ての建物に例えると、3階に位置する操舵室は17平方メートルの広さで、航海士2人が左右に座ってレーダーを見るイスがあり、中央には舵(船の方向を調整する装置)がある。船体の内外を映すカメラ7台を見ることができるテレビは右側にある。ムグンファ10号のカメラは16日に出港した当時作動していたが、18日に故障した。

操舵室の後ろには、船長、機関長、航海長の船室三つがある。李さんは21日午前1時35分、一緒に当直勤務をしていた三等航海士に文書の作成をすると言って操舵室を出た。ムグンファ10号の中で文書作成をする場所は2階の調査室だ。李さんは違法操業の漁民たちを調査する事務室のパソコン1台の電源を入れた。その後通路の端の出入り口を通って2階の甲板に出て、幅1メートルの2階通路5メートルほどを船尾の方へ歩いたように見える。

ムグンファ10号の一等航海士である李さんは出入港の時に船首を指揮し、違法漁船の検問の時の班長を務めた。人命救助の作業では船長を補佐し、下船時には航海日誌や航海図の管理も担当していた。

西海漁業管理団の職員たちは、普段船上で勤務する時には安全靴をはいて働き、出入港や取り締まりの時を除いて普段の勤務時には救命胴衣を着用しないという。船員の金さんは「李さんが救命胴衣を着用していたなら、死体は海の上に浮かばないとおかしい」と話す。

船尾の欄干は1.2メートルで、身長180センチほどの李さんの腰ほどだ。波のある海上で床は滑りやすく、船体が急に左右に揺れてロープなどにひっかかって足を踏み外した可能性もある。夜間の船体の外は漆黒のように暗く、最近10年の間にも漁業指導船の夜間勤務中に乗組員1人が失踪したことがある。

(2020年9月27日付東亜日報 木浦=イ・ヒョンジュ記者)

(翻訳・成川彩)