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新型ウイルスが変える食の景色 いま私たちにできること

マイケル・ブースの世界を食べる
北村玲奈撮影

新型コロナウイルスは、私たちが食べるものや飼育・栽培するもの、食に対する考え方にあらゆる角度から、大規模な影響を与えている。日本のように食料自給率の高くない島国にとっては、とてつもない試練となることだろう。この状況を、私なりに考えてみた。

食料備蓄は、ほとんどの人が理解していない営みである。ドイツでは、そして私の暮らすスカンディナビア地方でも、頰袋いっぱいに食べ物を詰め込む姿にたとえて「ハムスター行為」と呼ばれる程度だ。呼び方は何であれ、備蓄を成功させるコツは、ストックしやすい個々の食材ではなく、食事全体を考えることだ。パスタを買うなら、ぜひトマトソースも一緒につくれるようにしておいてほしい(必要なのはオリーブオイルにトマト缶、そして入手困難であろう生のニンニクの代わりにガーリックパウダーだけ。さらに砂糖少々)。世界中で狂乱状態となっているトイレットペーパーは、私のリストでは下の下のほうにある(本ならたくさん持っている。ということはつまり……)。

さらに先のことも考えてみる。ヨーロッパでは、北部の国は南部の国に生鮮野菜や果物の多くを依存している。深刻な打撃を受けたスペインやイタリアでは、夏や秋が来てナスやトマト、ホウレンソウやサラダ用の野菜が育ったとしても、それを収穫、加工して大陸中に届けられる人が不足しないだろうか。すでに高齢化と格闘している日本の農業界でも同じことが起こると想像する。「自分のぶんは自分で摘む」という考え方が急上昇するかもしれない。

食の分野でもスーパーマーケットは、ウイルスの影響で収益をあげている。ここ数週間でも売り上げが急増しているというが、私の心は職人気質の店主が営むような、小規模な店とともにある。街のパン屋、ショコラティエ、有機野菜農家、地域に密着した小売店にワイン生産者。彼らこそ、私たちの支援を本当に必要とする人たちだ。そうした店のオンラインショップを見つけて、直接買ってあげてほしい。

■生活習慣の変化も必要

「食」からはやや脱線するが、ビタミンサプリメントをとるようにしてほしい。たとえあまり信用していないとしてもだ。

私は冬になるたびインフルエンザに苦しめられ、毎年平均3週間はベッドの上で過ごすほど深刻な状況だったりする。妻にはビタミンサプリをとるよう言われていたが、いろいろな調査を見る限り大した効能はないし、今の食生活で十分足りているからと反論していた。

しかしいざ血液検査を受けたら、深刻なビタミンD不足であることが発覚した。私の免疫機能は完全に無防備だったというわけである。だからこの1年、毎朝片手いっぱいのサプリをとるようになった。運命に逆らいたくはないが、今のところ調子はいい。

最後に思うことは、地球上でお気に入りの場所であるアジア諸国の生鮮食料品の露店・市場についてだ。

中国やベトナム、タイ、韓国のどこを訪れても決まって最初に足を運ぶ。そこでは人々が何を食べるかだけでなく、味覚から歴史、気候、地勢まで、現地の人々の本質を目の当たりにできるのだ。すべてはそこにあり、それが魅力的なのだ。

ただ、今回のウイルス発生源は、そうした市場の一つである、中国・武漢にある生きた野生動物が売買されるような市場だと言われている(一つの説であり、もちろん他の可能性もある)。その国の文化の一つである以上、残念だし悲劇的なことではあるが、こうした市場は終わりを迎えるべきなのかもしれない。
それは、より退屈な均質化した世界へ、また一歩向かってしまうことではあろうが、その世界が今より安全なものになると希望したい。(訳・菴原みなと)