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世界報道写真展から

世界報道写真展から——/サイを守れ 密猟に迫る

[第7回]ブレント・スタートン


包帯を頭や脚に巻き、悲しそうな目をしたサイの子どもを、南アフリカの保護施設の若い女性が母親のように抱きしめる。密猟者に母親を殺されて孤児になったサイ。ハイエナに襲われているところを、レンジャーに救われたのだという。 アジアで、角が高値で売られるサイの密猟を追った「ライノ・ウォーズ(サイの戦争)」の一枚。鼻先の角を根こそぎ切り落とされ息絶えたサイなど、一連の写真は残酷で衝撃的だ。


撮影したブレント・スタートン(48)は、南ア出身。もともと野生動物を専門に撮っていたわけでなく、アフリカ各地の紛争を主に取材してきた。だが、「かなり強い写真も撮ったが、世間の関心を集めることはほとんどなかった」。

作者のブレント・スタートン(本人提供)

転機は、2007年にコンゴ民主共和国の紛争地帯で撮った一枚だ。何者かに相次いで射殺されたマウンテンゴリラの死体。世界中からの反響の大きさに驚いた。野生動物を介して世界で起きている問題を伝えるのは「いいやり方だと思った」。その後、野生動物と人間社会の関わりを考えさせる作品を発表し続け、国際的な賞を総なめにしてきた。


ある時は観光客。ある時は狩猟家、牧師、兵士……。決して取材に応じない相手に近づくためには、覆面取材もいとわない。1年のうち平均10カ月ほどは取材で旅に出る。時間や費用をかけて真実を追究する。あなたのようなジャーナリストこそ「絶滅危惧種」では─。そんな質問にスタートンは笑い、すぐに真剣な声でこう言った。「ジャーナリストは絶滅しない。フェイクニュースがあふれる現在ほど、ジャーナリズムが重要な時はない」

Brent Stirton Photo, Getty Images Reportage for National Geographic
Brent Stirton Photo, Getty Images Reportage for National Geographic

サイの密猟


サイの角は漢方薬の成分として重宝され、1970年代までは日本も主要輸入国だった。73年に採択されたワシントン条約(日本は80年に批准)で国際取引は禁止されたが、その後も高値で取引されるアジア向けに密猟が続いてきた。


最も多い約2万頭が生息する南アフリカでは、2008年ごろから密猟が急増している。世界自然保護基金(WWF)によると、13年以降は毎年1000頭以上が殺されているという。


ナショナル・ジオグラフィック誌によると、南アの牧場主が、サイの角は適切に切れば再び伸びるため、「合法的な取引で飼育することが、サイを絶滅から救う」として法廷に訴え、17年に南ア国内での売買が解禁された。


(GLOBE記者 浅倉拓也)


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