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ディズニー映画『美女と野獣』でLGBT

多様性、最後は打ち勝つ

ビル・コンドン監督に聞く

21日に公開される米ディズニー映画『美女と野獣』(原題: Beauty and the Beast)が、性的少数者(LGBT)を描いたことで世界で議論を呼んでいる。同性愛行為を刑法で禁じるマレーシアでは一時、公開中止も検討された。自身も同性愛者と公言する監督ビル・コンドンが、その狙いを語った。(聞き手・GLOBE編集部 藤えりか)




ビル・コンドン監督=仙波理撮影


――1991年版のディズニーアニメ映画『美女と野獣』を実写化した今作には、男性が女装を喜んでいる場面が出てきます。どんな思いからでしょう?


アニメ版では女装させられた男性が叫んで逃げてゆく場面がありました。ジョークとして描かれており、とても嫌な描写です。今作では「ジョーク扱い」をやめ、男性の1人は女装を楽しんでいる風に変えました。多様性の問題に応えるものです。彼らは悪の子分ですが、怖くて邪悪な人物にも違った側面があることも言いたかった。彼らが劇中、「(これまでの自分から)自由になりなさい!」と言われたようにね。

© 2017 Disney Enterprises, Inc. All Rights Reserved.

多様性はヒロイン像にも投影しました。ヒロインのベルはアニメ版で、男性より本に関心を寄せる設定となったことで話題を呼びました。エマ・ワトソン(27)がベルを演じる今作ではさらに、女性の地位向上に努めたり、発明家の顔を見せたりもしています。舞台は18世紀のフランス。当時の時代背景を踏まえ、教育を受けるのは男の子だけで、女の子は学校の向かいで彼らの服を洗濯する、ということも冒頭の場面で見せました。それがベルが生き、変えようとした世界なのだと示そうとしたのです。いくつかの場面は、国連組織「UNウィメン」の親善大使であるエマが提案しました。


© 2017 Disney Enterprises, Inc. All Rights Reserved.

――アニメ版でも今作でも、歌曲の歌詞を書いたのはエイズウイルス(HIV)に感染して91年に亡くなった作詞家ハワード・アッシュマンでした。その一曲、「夜襲の歌(Kill the Beast)」は、HIV患者への恐怖が隠喩(メタファー)と言われています。


ハワードは「知らないものに対する恐れ」「よそ者や外国人に対する恐れ」といった、私たちが今も社会で直面しているものについて訴えたかったのだと思います。あれから四半世紀ほど経っても同じような状況が続き、より一層、公然かつ支配的になっていることに驚きを感じます。当時彼が書いたことが、移民や他者への恐怖心を抱いたり、自分とは違う文化を悪者扱いしたりするという意味で、今の米国、また多くの国に相通じる状況となっています。今作の撮影時、まさか米大統領選でトランプが勝つとはこれっぽっちも考えていませんでしたが、同じ歌詞が今、本来の狙いとは違った形で響いているのです。

© 2017 Disney Enterprises, Inc. All Rights Reserved.

だからこそ私は、恐怖心をあおられて暴徒と化した人たちがティーカップや衣装ダンスといったキャラクターによって無力化される、そんなディズニーおなじみの展開が気に入っています。ばかげたことのように見えますが、よき価値観を持ち続けていれば、困難なようでいても最後は打ち勝つ、といった大切なメッセージを送っているんです。


――ディズニー映画の観客層はリベラルから保守まで幅広い。映画は世界中で興行的に成功を収めている一方で、議論も呼んでいます。



(次ページへ続く)
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