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Because I am a Girl・・・ 日本と途上国に横たわる共通の壁

「プラン・インターナショナル・ジャパン」池上清子理事長に聞く


アフリカでは「sugar daddy(甘いお父さん)」という援助交際のようなものがあります。女の子が年上の男性と付き合うことで、お金がたくさんもらえ、もらったお金を家族に渡し家族が食べる物を買う。エイズウイルス(HIV)が猛威をふるっていた頃、「処女と交われば治る」という根拠のないデマが流布され、HIV感染者やエイズ患者が「sugar daddy」となって若い女の子を買う、ということが起こりました。何か問題があると、女の子の方に負担がかかり、女の子が家族のために犠牲になることが多いのです。


政治的な話もあります。米トランプ大統領は就任の翌週に「グローバル・ギャグ・ルール(口封じの世界ルール)」として知られる「メキシコシティ政策」を再導入する大統領令に署名しました。人工妊娠中絶を支援する団体への補助金を禁じるものでした。健康や経済的な理由などで、どうしても人工妊娠中絶をせざるを得なくなったとき、どう女性を助けられるかは大きな課題だと思っています。ですが、トランプ大統領がしたのは、中絶や堕胎について話すことができない社会をつくることでした。一つの政権が変わると、女性の健康や権利がおびやかされることがありうるということなんです。


文化的な理由もあります。マッチョイズム、つまり「強い男の人をよし」とする価値観がある国では、男性たちは子どもをたくさん欲しいと考える傾向があります。だから子どもを産むという前提で女性を見ます。子どもを産めない女性は、一方的に「悪い」と決めつけられてしまいます。

バングラデシュで行われた女性や女の子への暴力に反対するデモ=プラン・インターナショナル提供

いま、技術の発達で男女の産み分けが可能になり、中国やインドなど一部の国で男女比の不均衡が起きています。生まれる前に男性が選ばれ、女性が消される。すると男の子が結婚できない状況が生まれてきます。人口のアンバランスは、治安の悪化や女性に対する性暴力の増加につながる恐れがあり、社会的不安をもたらすと言われています。


世界人口は1年に約8千万人のペースで増え続けています。でも日本にいると少子高齢化の話しか聞こえてきません。誰か選んで少子化になっているのか。出産可能年齢にいる女性たちとパートナーです。そこには、「産めない社会」があります。統計によると、夫婦が理想とする子どもの数は2~3人なのに実際に産む数は1・46人。原因の一つは長時間労働です。パートナーは疲れ切って帰ってきて家の仕事を何もしない。こんな状況で子どもを産んで私一人で育児できるだろうかという不安。保育園はあるけれど入れない。自分の親は働いていて頼めない。育児と仕事の両立がすごく難しい社会で、男性にも一家を支えないといけないという重圧があります。女性も男性も変わっていかないといけない。


世界経済フォーラムが発表した2016年のジェンダーギャップ指数で日本は144カ国中111位(前年101位)。このみっともない数字は一体なんでしょうか。縦軸に合計特殊出生率、横軸にジェンダー指数をとると、ジェンダーにやさしい国ほど出生率が高いという相関関係が分かります。先進国で日本と同じグループは韓国、スペイン、イタリア、ポルトガルなどです。なぜジェンダーに優しくないのかが分かれば、出生率は上がるということです。


では私たちが何をしたらよいか、ということですが、家庭の中から変えていけると思っています。人の行動は急には変わらない。家事や育児を手伝わない男性は、そうやって育てられているのだと思います。母親が男の子に家事をさせないのかもしれません。母親が子どもをどう教育するかは、とても大事なことです。若い人たちにもっとメッセージを伝える必要があります。


そして、連帯すること、つながることが大切です。「プラン」のキャンペーン名になっている「Because I am a Girl(女の子だから)」、学校に行けない、仕事をもらえないということは途上国だけの話ではありません。日本でも、「女の子だから」という理由で何かができないのは、おかしいんじゃない?という疑問を持って欲しい。女の子が自分の足で立って考えることができれば、社会を変えていくことができるんじゃないか。「プラン」はこれまで途上国のことを中心にやってきましたが、日本国内にも活動範囲を広げていけたらと考えています。




いけがみ・きよこ 2016年9月、公益財団法人プラン・インターナショナル・ジャパン理事長に就任。1983年の設立以来、初の女性理事長。国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)、国連本部、公益財団法人ジョイセフ、国連人口基金などをへて2011年から日大大学院教授。


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