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日本人の外国語下手を打ち破る/国際言語学五輪のススメ

ポール・スノードン日本国際言語学オリンピック委員長

今年2月19日に東京都内で行われた国際言語学オリンピックの説明会

世界の高校生たちが、数学や物理学で実力を競い合う国際科学オリンピックに、言語学の部門があることは、あまり知られていない。日本の高校生も2013年から参加、最近は銅メダルを獲得するなど、活躍し始めた。外国語は苦手というイメージのある日本人だが、実はちょっとしたコツで、言葉の壁をぶち破れるのではないか、という。日本国際言語学オリンピック委員会の委員長を務めるポール・スノードン杏林大学副学長に聞いた。(聞き手 編集委員 三浦俊章)



三浦:数学オリンピックは有名ですが、言語学オリンピックもあるのですね。


スノードン氏:言語学も同じ国際科学オリンピックの仲間なのですが、まだまだ若いオリンピックです。始まったのは2003年からで、毎年40~50カ国くらいの国の高校生が参加しています。日本での歴史はもっと短いですが、2015年のブルガリアの大会で銅メダル、2016年のインドの大会でも銅メダルが、それぞれ一人出ました。2016年の大会では、最優秀解答者賞を一人が獲得しました。


三浦:どんな問題が出るのですか。外国語をいくつも知らないといけないのでしょうか。


スノードン氏:たくさんの言語を知る必要はありません。参加者は、それまで見たことも聞いたこともない言語、たとえば、アフリカやインドなどでごく少数の人たちしか使っていない言語の問題を出されます。


三浦:知らない言語をどうやって解くのですか。


スノードン氏:ごく簡単な例を、日本語で示しましょう。『よむ』の過去形は『よんだ』、『ふむ』の過去形は『ふんだ』、とすると『かむ』の過去形は何でしょうか。いくつかの法則を示して、新しい形を推測させる。もちろん、こんな簡単な問題でありませんが、出された言語の特徴を見破り、論理的に推理する能力を問うのです。


三浦:問題は何語で出されるのですか。


スノードン氏:参加者の母語です。日本からの参加者は日本語ですね。


三浦:すると、たくさんの言語を知っていれば必ずしも問題を解けるわけでないのですね。まるで暗号解読のようです。第2次世界大戦の暗号解読では、数学者が活躍したと聞きます。


スノードン氏:そうですね。暗号解読に似ているかもしれません。世界各国の参加者に、どういう学校の科目が一番役に立ったかと聞くと、外国語だけでなく、数学だという答えも多いのです。


三浦:言語学オリンピックはどこの国が強いのでしょうか。


スノードン氏:伝統的には東ヨーロッパとかロシアの高校生が上位に入ります。ご存じのように、東ヨーロッパではたくさんの言語が話されています。様々な言語ができないと生存できない。彼らは、異なる言語に非常に柔軟です。国際共通語のエスペラントが、東ヨーロッパで生まれて広まったのも偶然ではありません。



(次ページへ続く)

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