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日本にいま必要なのは女性のロールモデル

「母、妻、そして企業リーダー」の存在がカギ

アランチャ・ゴンザレス国際貿易センター(ITC)事務局長に聞く


東京で日本政府が開いた国際女性会議に参加するため、国際貿易センター(ITC)のアランチャ・ゴンザレス事務局長が昨年末に来日した。女性の経済参加を促す「エンパワーメント」に取り組むゴンザレス氏に途上国での取り組みや日本の女性の社会進出のヒントを聞いた。(GLOBE記者 高橋友佳理)



高橋:ITCは途上国の女性のエンパワーメントに積極的に取り組んでいます。なぜでしょうか。

ゴンザレス氏:女性起業家たちは多くが小規模で商売をすることを余儀なくされています。小規模であればあるほど、リスクに対し脆弱になってしまう。小規模である理由の一つに、様々な慣習が壁になって女性が大きなビジネスを手がけることが難しかったり、法律上では男女平等であっても、女性の場合は手続きの煩雑さが負担になっていたりしているという状況があります。また、女性は金融機関から融資を得にくい。女性が家事や育児、介護といった無報酬労働に時間を取られ、有給の仕事にかけることができる時間が少ないことも要因です。


高橋:ITCは女性の起業を応援するプロジェクト「She-Trades」を始めていますね。

アランチャ・ゴンザレス氏

ゴンザレス氏:2015年末に始め、2020年までに途上国で100万人の女性を市場に結びつけようとしています。女性が入札に参加できるようにしたり、財産を所有、相続できるように取り組んだりして、国や企業、大学などにも協力を呼びかけています。すでに目に見える変化や成果が出てきています。


チリでは政府が入札に女性起業家の参加を促すことを決め、ケニアでは銀行が女性起業家にも貸し付けを許可するようになったのです。すでにプロジェクトを始めてから、80万人の女性が市場にアクセスできるようになりました。女性起業家たちの商品を購入するよう、日本の企業にもこの活動への参加を呼びかけたいと思っています。


高橋:日本は経済的な課題を抱えていますが、女性のエンパワーメントの観点から、日本の貿易をどう見ていますか。

ゴンザレス氏:日本は貿易に導かれて成長してきた国です。特に第2次世界大戦後の「日本の奇跡」と呼ばれた成長はそうでした。しかし、いま私の目から見て、日本には三つの大きな課題があると思います。


一つ目は、生産性です。技術の進歩ほどに生産性が向上していません。これには少子高齢化も関係しているでしょう。二つ目は、人々がリスクを取らなくなっています。三つ目は技術力の伸び悩みです。この三つは相互に関係し合っています。


国際団体「世界経済フォーラム」のジェンダーギャップ指数の2016年版で、日本は144カ国中111位でした。教育における男女差はほぼ解消しましたが、経済が100点満点で56.9点、政治に至っては10.3点と解消にはほど遠い。


私は経済における女性のエンパワーメントを進めることが、日本を取り巻くほかの課題をも、解決するカギだと思っています。


(次ページへ続く)

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