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先読み世界経済

[第116回]イラン核合意に骨抜き懸念

北朝鮮の動きに目を凝らせ

デビッド・アッシャー(新アメリカ安全保障センター〈CNAS〉上級研究員)






米国人作家、マーク・トウェインはこんな警句を残している。「歴史は同じようには繰り返さないが、韻を踏む」北朝鮮をめぐる6者協議の交渉官だった身には、こんな懸念が頭をもたげる。イランをめぐる米英独仏中ロの6カ国の交渉は、失敗した6者協議の「韻を踏む」結果となるのではないか、と。












2003年に始まった北朝鮮の核開発をめぐる6者協議の進め方と、昨年11月に結ばれたイランと6カ国の第1段階の合意には、多くの共通点がある。


プロセスの後のほうに、カギとなる実行段階や軍事転用の防止措置が位置づけられ、それに先行し、経済や金融の制裁がゆるめられること。さらに、これは核開発を完全な形で放棄させる包括合意ではなく、多くのばらばらの「暫定合意」を求めている点だ。北朝鮮をめぐる協議と同様に、イランをめぐる協議が、だらだらと先送りされ続ける可能性は高い。


北朝鮮もそうだが、イランの外交の基本方針は交渉で決まるわけではない。最高指導者ハメネイ師を頂く神権国家で、政策決定には、欧米諸国への抵抗運動に熱心な革命防衛隊が大きな影響力を持つ。抵抗運動は、イランの革命思想の中心だ。必要だと思えばいつでも、国際規範を破り、合意を踏みにじるだろう。それがまさに抵抗運動というものだ。


世界各国は、難問に向き合いつつある。恒久的な合意ができたとして、イランはいつまで守るのか、と。イランは新たな妥協的姿勢をみせるが、イスラエルに対する態度は軟化していない。中東各地のシーア派への支援も維持し、米国に対する見方さえ根本的には変えていない。


「抵抗の枢軸国」に頼り続けてもいる。特に重視している相手は北朝鮮だ。米シンクタンク科学国際安全保障研究所によれば「2016年末までに、北朝鮮は26〜37個の核兵器を作れるだけの兵器級濃縮ウランを蓄積できる」という。



David Asher

1968年生まれ。米コーネル大卒、英オックスフォード大で博士号(国際関係)取得。2001〜05年の米国務省上級顧問(北朝鮮問題特別調整官)を経て現職。



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