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先読み世界経済

[第115回]「養子大国」韓国で大論争

生みの親、届け出は必要か

姜恩和(首都大学東京助教)






韓国で養子縁組をめぐる議論が白熱している。韓国は戦後、16万人超が国際養子として国外に出た。最近も国内を中心に年に約2500件の縁組が成立してきた意外な「養子大国」。2012年に生みの親の届け出を義務づけたため、赤ちゃんの置き去りが頻発し、見直しの動きもある。日本が韓国の経験から学ぶべきは。




韓国では、朝鮮戦争後の混乱期におおぜいの戦争孤児が海外に養子縁組された。この半世紀に国際縁組16万5000件、国内7万7000件の縁組が成立している。1961年には養子縁組に関する最初の法律をつくり、何度かの改正を経て2012年8月に改正法「養子縁組特例法」が施行された。この改正法がいま、韓国社会で議論となっている。


韓国の養子縁組は、結婚せずに出産した女性が民間の養子縁組機関を通じて赤ちゃんを育て親に託し、育て親が実の子として届け出るパターンが主流だった。虚偽の届け出は禁じられているが、実態として広く行われてきた。家父長制が色濃く残る儒教社会の韓国では、血縁や戸籍を重視する一方で、未婚の母とその子どもに対する社会的偏見がきわめて強いことが背景にある。


養子縁組が広がり始めた1960年代は、親がいないか、貧しいことが縁組の主な理由だったが、80年代以降は理由の8〜9割が「未婚母の出産」となった。


だが、養子が大人になった時に自分の本当のルーツを知ることは難しい。このため、成人した海外養子や弁護士、一部の未婚母の権利団体が中心となって、生みの親の届け出を義務づけるよう法改正を要求。この改正で、養子縁組を裁判所の許可制にするとともに、生みの親による出生届をその条件にした。また、養子縁組あっせん機関は、子どもの出生後1週間は生みの親から縁組への同意をとってはいけないこととした。



Kang Eunhwa

1973年ソウル生まれ。95年に来日。東京都立大大学院で博士号(社会福祉学)。児童福祉や家族制度を比較研究。日本人の夫との間に3歳の息子がいる。



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