RSS

先読み世界経済

[第110回]アジア事業、成功のかぎは華僑

地域密着・女性活用で浸透を

リチャード・ユー(漢方薬大手、余仁生インターナショナルCEO)






シンガポール、マレーシアなど東南アジアでの事業展開を考える際、地域経済への影響力を持つ華僑の存在は無視できない。創業から130年以上の歴史がある漢方薬製造・販売会社の4代目経営者として、華僑社会でのビジネスのコツを伝えたい。




東南アジアを海外事業の「主戦場」にする企業が増えている。ASEAN(東南アジア諸国連合)諸国への国外からの直接投資は2011年に計1000億ドル(約10兆円)を突破し、10年で5倍に膨らんだ。


背景にあるのは、政情の安定と安い労働力だけではない。域内人口が6億人を超え、年6%前後の高成長で中間層が厚みを増し、消費市場として注目が高まっていることがある。


とはいえ、期待した成果が出せずに撤退を余儀なくされた日本企業もあると聞く。


余仁生(ユーヤンサン)は漢方薬店として、1879年に中国・広東省出身の曽祖父・余広がマレーシアで創業した家族企業だ。事業を継承した祖父・余東旋が支店網を香港、シンガポールに拡大。「華商の巨頭」とも呼ばれた。


しかし、漢方人気の低迷や競合の台頭などで私が入社した1989年当時、会社は経営危機に直面していた。会社再建で重視したのは、自社の漢方薬を扱ってくれる代理店との信頼関係の再構築だった。地域のことをよく理解し、適切な協力者を見つけることを最優先にした。


東南アジアでの商売で何よりも大切になるのは商売相手、パートナーとの信頼関係の醸成だ。それは時間がかかるし、何よりも時間をかける覚悟がいる。


ASEANと一口に言っても商習慣や文化はまるで違う。そのことを十分理解するまで、他の仕事をキャンセルし、経営者がその場にとどまることも時には必要だ。短期出張では相互理解はなかなか深まらない。そこをおろそかにすれば、すべてを失う可能性すらあるのだ。


…続きを読む

この記事の続きをお読みいただくためには、購読手続きが必要です。
GLOBE総合ガイド
  • ログインする
  • ご購読申し込み

朝日新聞デジタル購読者(フルプラン)の方なら手続き不要

「朝日新聞デジタル(フルプラン)」を購読済みの方は、ご利用のログインID・パスワードでGLOBEデジタル版の全てのコンテンツをお楽しみいただけます。「ログイン」へお進みください。
朝日新聞デジタルのお申し込みはこちら

この記事をすすめる 編集部へのご意見ご感想

  
ソーシャルブックマーク
このエントリーをはてなブックマークに追加

Back number | バックナンバー

[第119回]ウィリアム・スウィング(国際移住機関〈IOM〉事務局長) 増える国際移住、割れる対応/積極受け入れ、社会の活力に

[第119回]ウィリアム・スウィング(国際移住機関〈IOM〉事務局長)
増える国際移住、割れる対応/積極受け入れ、社会の活力に

[第118回]ティム・レイマン(自然写真家) 臨場感増す映像メディア/秘境に暮らす極楽鳥を撮影

[第118回]ティム・レイマン(自然写真家)
臨場感増す映像メディア/秘境に暮らす極楽鳥を撮影

[第117回]長沼聡史(英ロイズ・シンジケート1880 アクティブアンダーライター) 大災害で変わる再保険市場/リスク見極める人材をもっと

[第117回]長沼聡史(英ロイズ・シンジケート1880 アクティブアンダーライター)
大災害で変わる再保険市場/リスク見極める人材をもっと

[第116回]デビッド・アッシャー(新アメリカ安全保障センター〈CNAS〉上級研究員) イラン核合意に骨抜き懸念/北朝鮮の動きに目を凝らせ

[第116回]デビッド・アッシャー(新アメリカ安全保障センター〈CNAS〉上級研究員)
イラン核合意に骨抜き懸念/北朝鮮の動きに目を凝らせ

[第115回]姜恩和(首都大学東京助教) 「養子大国」韓国で大論争/生みの親、届け出は必要か

[第115回]姜恩和(首都大学東京助教)
「養子大国」韓国で大論争/生みの親、届け出は必要か

[第114回]サスキア・サッセン(米コロンビア大教授・社会学者) 土地争奪・金融技術・環境破壊で、社会の枠組みから排除される人々

[第114回]サスキア・サッセン(米コロンビア大教授・社会学者)
土地争奪・金融技術・環境破壊で、社会の枠組みから排除される人々

Popular article | 人気記事

さらに記事を見る
Facabookでのコメント

朝日新聞ご購読のお申し込みはこちら

Information | 履歴・総合ガイド・購読のお申込み

Editor's Note | 編集長から

PC版表示 | スマホ版表示