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先読み日本経済

[第37回]

「除く日本」から脱するためには
成長への意志回復を

水野弘道 Hiromichi Mizuno コラーキャピタル・パートナー

 

「日本は世界2位の経済なのに、なぜこれほど投資機会が少ないのか」――。世界の多くの投資家が長年、こうした疑問を持ち続けている。

水野弘道氏

私が英国に移った2003年ごろは、「そろそろ日本にも、未公開企業に投資するプライベートエクイティやベンチャーキャピタルの投資機会が出てくるはずだ」という強い期待感が海外の投資家の間にあった。それがいまだに出てこない。

ある米国の投資家は「日本のファンドマネジャーが『そろそろ』と言い続けてもう10年。もう一つの失われた10年だ」と半ばあきらめ気味に漏らした。

私はいまも日本に投資機会があるはずだと考えている。本来あるはずの投資機会が現実化せず、眠ったままになっているのだと思う。とすれば、日本のシステムに何らかの問題があるはずだ。

私がアジアの統括責任者をしているコラーキャピタルは、ロンドンに本拠がある。プライベート・エクイティ・ファンドで、約1兆円を世界で運用している。機関投資家や事業会社の資産を買い取るセカンダリー(2次)投資では世界最大手だ。なかでも、企業の研究開発部門を買い取り、ポートフォリオとして運営したうえで上場させたり、売却したりして利益を得る手法に特徴がある。

日本でも08年、米製薬大手ファイザーが閉鎖した愛知県の中央研究所を引き継いだベンチャー企業「ラクオリア創薬」に、日本のベンチャーファンドとともに出資した。

投資家の資産分配から置き去りにされる日本

通常、機関投資家は具体的な運用先を決める前に「北米に何%、欧州に何%、アジアに何%」と地域別に資金を配分する。そのために、米、欧、アジア地域内各国の成長率や投資環境などを比べる。しかし、ここで「アジア」といったときに、一体どれだけの投資家が日本をアジアに含めているだろうか。

実際、国際的な投資の会議で目にする資料では、アジアに「ex Japan」(日本を除く)のただし書きが当たり前のように入っている。日本を含めるとアジアの成長率が曇ってしまうからだ。これを私は「X JAPAN(エックス・ジャパン)」問題と呼んでいる。

(次ページへ続く)

みずの・ひろみち

岐阜県多治見市出身。
米ノースウエスタン大学で経営学修士(MBA)を取得。
住友信託銀行で航空機ファイナンスや海外融資案件の審査、プライベートエクイティ投資などを担当。
2003年に英国のプライベートエクイティ投資顧問会社のコラーキャピタルに移る。ジャフコ、東京海上キャピタル、グロービス、アドバンテッジパートナーズなど日本のファンドのほか、英国、米国、台湾、中国のファンドのアドバイザーを務める。ラクオリア創薬(愛知県)の取締役にも就いている。

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