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二つ目は、気候変動だ。このまま気温上昇が続くと、今世紀末までに6億人が栄養不良に陥るだろう。最近会ったバングラデシュ環境相は「気候変動はわが国にとって未来の脅威でなく、現実の脅威だ」と話した。海面上昇で国土の一部を消失しつつあり、サイクロンなどの災害は増えているという。世界的な気候変動対策を進めないと、耕地が減り、災害や干ばつが増え、環境難民の発生などすべてに影響が出るだろう。
三つ目は、紛争や不十分なガバナンス(統治)だ。毎年75万人前後が紛争や暴力で死亡するなど犠牲が出ている。
これらの地球規模の問題に適切に取り組まなければ、MDGsははるか向こうに遠ざかってしまう。「先進国には世界の貧困根絶に尽くす余力はない」「これ以上の努力と資源を国際協力に注ぐことはできない」との意見がある。しかし、それは全く逆だ。今こそ、開発協力に一層努力する必要がある。今、断固たる対応をしないと、私たちの安全保障も、繁栄も損なわれ、環境問題も一層深刻になる。私たち自身が敗者になる。
国際社会はMDGs達成に向け、新しいアプローチの合意形成をする必要がある。今年9月には国連で潘基文事務総長の主催で首脳会議が開かれる。どうやってMDGs達成への努力を再活性化するか、が焦点だ。アジアの開発援助に多大な実績がある日本とは、多くの協力をしてきた。9月の首脳会議に向けて日本と一層の協力を期待している。
英国は貧困問題と戦うため、4分野の取り組みを白書で示した。気候変動への対応、紛争との戦い、成長支援、国際機関の取り組みの改革、である。
成長支援のため、DFIDは一昨年、「国際成長センター」を設けた。オックスフォード大学やロンドン・スクール・オブ・エコノミクスの協力で設立した組織で、途上国の人が活用できる独立の専門家集団だ。成長がなければ貧困削減も出来ず、成長を刺激することが重要だ。ガーナなど多くの国が活用しつつある。人材育成や能力向上の研修もする。資金は英政府以外のドナー(資金支援者)からも提供されている。
一方、国際機関については、国連や世界銀行、欧州連合(EU)などが援助実施で一層効果をあげることが大切だ。これらの機関は、迅速な意思決定が出来るよう、権限を分散し、援助の受け手と密接なやりとりをすべきだろう。英国は援助予算の4割以上をこれらの機関を通じている。
英国が世界に提供する開発援助で毎年300万人が貧困から脱出している。バングラデシュやウガンダでは何千人もが小学校に行けるようになった。蚊帳の提供など保健衛生の援助で、乳幼児や母親の死亡率は減った。こうした機関には「一層の援助効果が上がるよう改革を続ければ、もっと多くの資金を注ぎ込む」と伝えている。納税者である英国民に効率化の取り組みを示さないといけないからだ。
もし、世界で貧困が解消されずに格差が拡大すれば、社会の不満は増し、治安悪化を招き、過激派につけ込まれる余地も出てくる。
開発援助は一種の「ソフトパワー」である。世界の安定化には、外交や国防政策ばかりでなく、開発政策こそ効果があるのだ。
(訳・構成 GLOBE記者 竹内幸史)