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これらのハードルでつまずけば、待ち受けるのは「惨めな縮小」シナリオだ。人口減少と高齢化が止まらず、国内需要の縮小と製造業の海外移転が続く。内需型サービス業は雇用の受け皿になるほど十分な成長を遂げず、個人消費の低迷が常態化する。公的資金で構造不況業種が延命され、法人税収の低迷と非効率な再分配が助長される。負担は高いが再分配の「質」が伴わない「中福祉高負担」型、活力に乏しい社会の姿だ。
「優雅な衰退」を目指しても「惨めな縮小」に陥る危険は大きい。ならば、積極的な再成長のシナリオを追求すべきだ。環境対応型製造業やサービス業の成長に加えて、三つのポイントを提案したい。
第一に、外貨を稼げる産業群の拡充だ。特にインフラ分野では、競争力の高い製品・システムにサービスを組み合わせて、海外展開するアプローチが有望だ。例えば、低炭素型の発電設備を売るだけでなく、発電・配電事業と組み合わせたシステム全体を提供する。鉄道設備と運行事業、電気自動車と資源循環型のエコシティ開発の組み合わせなど、同様の発想で様々な展開があり得る。
ファッション、アニメなどのコンテンツ、日本食、観光など、日本の文化価値を背景とする産業群の育成にも取り組む。
例えば「ガールズファッション」の領域では、ファッションビルの渋谷109が世界への情報発信源となり、「カワイイ」が世界のファッション用語となった。中国では、海外系女性ファッション誌の販売ランキングで「Ray」「ViVi」など日本勢がトップ5を独占。一方で、日系アパレル企業の中国での売上高は、大手でも数十億円規模に過ぎず、強いソフトパワーを収益に転換できていない。
コンテンツや日本食にも同様の構図がある。文化力で外貨を稼ぐ「日本文化産業戦略」が今こそ必要とされている。
第二に、金融市場と金融関連産業の強化だ。特に、東京市場の「国際金融センター化」はぜひ進めたい。国内の現預金・国債に偏在する金融資産を世界に分散投資し、所得収支黒字の拡大を図る。同時に、国内の投資機会に対する世界の注目度を高め、日本経済の活性化に外国資本を活用する。さらに、アジアの貯蓄をアジアの投資につなげるハブへと東京市場を進化させることで、域内の経済発展に金融面から貢献する。そのためには、金融と、法務・会計などプロフェッショナルサービスの充実が必須だ。これら高付加価値産業の成長は、1人当たりGDPの向上にも貢献する。
第三に、本格的な「人材開国」だ。各種プロフェッショナル、エンジニア・研究職など高度な技能を持つ人材の誘致は当然だが、介護や農業の成長を支える人材も海外から積極的に受け入れる。
現在200万人の長期滞在者・永住者を、段階的に500万~1000万人規模へ拡大したい。そのためには、外国人が住みやすい公共インフラと、彼らのスキル・所得の向上と日本への永住を促進する社会的な取り組みが必要だ。多くの外国人を活用する社会になれば、日本企業の「内なるグローバル化」も自然と進む。
日本企業のグローバル展開における課題は、世界市場を視野に事業を運営できる人材層の薄さ、そして国内で培った強みを、日本人が海外に移植するという「一方通行のグローバル化」の限界にある。日本企業が世界からの人材を有効活用する組織に進化すれば、これらの課題を解決し、世界市場での競争力を高めることが可能だ。
日本にはまだ大きな潜在力がある。骨太な構想の下に産業と国が歩調を合わせ、力強い再成長路線を目指したい。