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先読み日本経済

[第19回] 鳩山首相はAPEC新時代を主導せよ

ピーター・ドライスデール Peter Drysdale オーストラリア国立大名誉教授


アジア太平洋経済協力会議(APEC)加盟の21カ国・地域の首脳が来月、シンガポールに集まる。そこでは日本の鳩山由紀夫首相にスポットライトが当たるだろう。
今年は1989年にオーストラリアの首都キャンベラでAPECが、誕生して20年の節目の年だ。

ピーター・ドライスデール氏

APECは、日本とオーストラリアの協力による輝かしい成果だ。当時の大平正芳首相や大来佐武郎外相、オーストラリアのマルコム・フレーザー、ボブ・ホークといった歴代首相によって礎が築かれた。経済学者のジョン・クロフォード卿や私を含めた民間人も、20年以上にわたりかかわってきた。今や東アジアと太平洋にわたる地域機構の中軸になっている。

今回がAPEC初舞台になる鳩山首相は、二つの疑問にどう答えるのか、期待と注目が集まっている。
一つは、「脱米入亜」とも評される彼の考え方が、米国やロシアをメンバーに抱えるAPECという舞台で、どう具体化されるのか。
第二に、新たなプレーヤーである鳩山首相やその閣僚たちは、来年11月、横浜で開かれるAPEC首脳会議の主催国として、どのようなアイデアを提示できるのか。オバマ大統領が先導役になる11年の米国での首脳会議にどうつなげていくのか。

農産物貿易の障害、どう対処?

APECは、東アジアと太平洋地域における貿易と経済外交において、現実的な戦略を示してきた。それは、欧州連合(EU)のように「貿易ブロック」的な存在にならず、オープンな関係を保つ「開かれた地域主義」である。
アジア太平洋の国々が持つ多様性、開発レベル、目標に適合した戦略のもとで、貿易自由化と制度改革を進めてきたからこそ、素晴らしい成果をあげることができた。
しかし、97年のアジア経済危機と今回の世界金融危機を経て、アジアにおいては「ASEAN(東南アジア諸国連合)+3」、「ASEAN+6」、グローバルには「G20」といった新しい枠組みが出現した。これらに、APECがより一層、戦略的にかかわる必要がある。
日本主催の10年に向けた課題は、貿易投資の自由化を目指してAPECが掲げた「ボゴール目標」のうち、期限が来る先進国の目標を仕上げることだ。

(次頁へ続く)

ピーター・ドライスデール氏の略歴

1938年生まれ。
オーストラリア国立大(キャンベラ)で博士号を取得。
現在は同大学の名誉教授、東アジア経済研究所の所長も兼務。アジア各国の有識者が寄稿するブログ、East Asia Forum(www.eastasiaforum.org)を主宰。
一橋大学にも留学経験がある。学術的な見地からAPECの発足と発展に大きな貢献をした。
主著に「アジア太平洋の多元経済外交」(毎日コミュニケーションズ)など。

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