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次に必要なのは、環境対応車の開発だ。この分野で、ビッグ3は世界と戦える基礎的な技術がある。
例えば、電気自動車の実用化に向け最大の課題である電池の小型化は、世界中のどの企業も「解決した」とはいえない。ビッグ3がこの分野の技術開発に対する投資を再び拡大できれば、世界をリードできる力を持つことも可能と見ている。
ただそれには、米政府も国内の製造業を立て直す努力をしなければならない。自動車産業はまだかろうじて生き残っているが、これまでに米国は多くの製造業を失った。サービス産業ではなく製造業への投資をしなければ、成長を維持できない。
なぜなら、短期的な低迷はあっても、今後100年という長期的な視点でみれば、自動車産業は世界的に成長を続けるからだ。中国など新興国市場に支えられ、製造業の柱として存在し続けるはずだ。
この短期と長期の課題を見据えて行動している日本の自動車業界には勇気づけられる。
私のよく知る日本の部品メーカーはリストラはしても、パニックにならず、将来に向けた技術開発を続けている。デトロイトの多くの企業が、あまりに急激な市場の縮小にパニックになり、単なる萎縮(いしゅく)を続けているのとは対照的だ。

ビッグ3に代わって次の100年をリードする企業として、最も近い位置にいるのはトヨタだろう。この30年で、トヨタは世界各国で「現地化」を進め、強い経営基盤を築いた。最近は損失を出したが、まだ十分な資本を持っている。
近い将来、ビッグ3と同じような危機を迎えることはないだろう。
低コストの中国やインドのような新興国のメーカーが台頭しているが、コスト削減に高い能力を持つトヨタなら十分に戦っていける。
ハイブリッド車を売り出したホンダを含め日本勢の技術力は高い。今後、さらに新興市場を舞台に国際競争が激しくなったとしても、勝ち抜いていけると見ている。
ただ、中国の力はあなどれない。私は仏ルノーに勤めていたときに7年間、中国に住み、自動車市場の開拓を担当した。その経験から、中国が電池の小型化などの壁を打ち破り、環境対応車で世界のトップに躍り出るのではないかという「脅威」も感じている。中国は、政府の支援で環境に優しい車づくりに取り組もうとしている。次の100年を見据えた覇権争いは今後さらに激しくなる。
(訳・構成 ニューヨーク支局 丸石伸一)