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自動車業界を取り巻く環境は厳しい。今年に入ってからの米国の新車販売市場は、年換算で900万台程度の低水準にあり、ピークだった00年前後からほぼ半減という悲惨な状況だ。
来年以降も、消費マインドが急激に好転するとは考えられず、新車販売台数はしばらく1000万台程度で推移するとみている。
世界中の自動車メーカーは当面、過剰な生産能力を削減して「適正規模」を実現するという課題に取り組むことになる。利益を上げるためというより、倒産を避けるために必要な措置だ。
この状況下で生き残れる企業に生まれ変わろう、というのがゼネラル・モーターズ(GM)だ。
破産法による管理から脱却して新会社になったGMは、大規模なリストラによって、米市場規模が年1000万台を上回り、同社が18%程度のシェアに相当する180万~200万台を販売できれば、利益が出る計画を作ったという。
かつて、米国内で年500万台、世界で年950万台を売り、「世界最大の自動車メーカー」として君臨したGMを大規模リストラで「小さな企業」にしてしまうのは、デトロイト出身の米国人として非常に悲しいが、正しい選択だ。
GM、フォード・モーター、クライスラーグループの「ビッグ3」は、「適正規模」になる過程で販売シェアをさらに落とさざるをえない。近い将来には、米国市場でも合計シェアが、恒常的に日本勢を下回る状態になるだろう。
今後、ビッグ3が世界で生き残る条件は何だろうか。それは、世界の自動車メーカーの抱える課題とも重なってくる。
基本は、適正な生産規模を守りつつ、環境意識を高めている顧客の需要に合った車を出すことだ。これまでビッグ3は、短期的な利益を重視したため、顧客の変化についていけなかった。
GMに関していえば、サイズだけでなく、企業文化を変えるための取締役の刷新が必要だ。
新役員は、必ずしも自動車メーカー経営の経験者でなくてよい。いまのフォード・モーターの最高経営責任者(CEO)を務めるアラン・ムラーリー氏も米航空機大手ボーイングの出身で自動車会社の経験はなかったが、手腕を発揮している。
新しい企業文化を作り出すことができるという意味で、グーグルやマイクロソフトなどIT出身者も有力な選択肢になりうる。
商品開発ではまず、小型車への注力が必須だ。様々な車種の中で、小型車だけが今後も市場を拡大する。
米国内でも、特に西海岸の若い世代は小型の乗用車を好む傾向が強まっている。かつては大型エンジンと車体のものが大半だったピックアップトラックでさえ、今では小型を選ぶ人が増えている。
世界的に見ると、小型車の需要の高いアジア、とりわけ中国での販売比率が高まってくる。
自動車を購入する世代や地域の移り変わりに対応して、販売車種の構成も変えることが不可欠だ。
(次頁へ続く)
1952年生まれ。
セントラル・ミシガン大大学院修了。仏自動車大手ルノーに入り、主に米国を拠点に、北米やアジアでの事業を統括する責任者などを務めた。自動車部品会社の役員などを経て、02年、経営コンサルタント会社「オートポリス」(本社・ロンドン)に移り、米国担当の役員。