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先読み日本経済

[第13回] インドが9%成長に戻るには
日本が果たしうる役割
ラジブ・クマール Rajiv Kumar インド国際経済関係研究所 (ICRIER)所長

 

ラジブ・クマール

5月にあったインド下院の総選挙の結果、マンモハン・シン首相率いるインド国民会議派主導の政権が圧倒的な勝利をおさめ、政権基盤を安定的なものにした。
これによってインド経済の先行きに、強い政治の後押しが加わった。インドは高度成長に復帰する戦略を明確化し、日本との関係強化も進めるべき時だ。

総選挙で有権者は、穏健派の現政権に明確な信任を与えた。貧困層を含む多くの人に恩恵が及ぶ形で迅速かつ持続的な成長を目指すという、これまでの政策が支持されたといえる。

政府は、新たな5年の任期での政策と目標を発表した。その中には、「汚職を追放し、公共財やサービスの円滑供給を保証するガバナンス(統治)強化」のほか、外国の大学のインド進出など「教育セクターへの民間投資を進める自由化」、「現在は58%に過ぎない女性の識字率を今後10年で100%にする」など教育や人材開発の施策も目を引く。また、就労人口の約半分を占める農業では「生産性向上」を改めて強調している。さらに、これまで左翼勢力の反対で改革が難しかった効率の悪い公営企業についても民営化を促進し、政府の赤字削減につなげるとした。

若年層の多さに強み

インドは若年層の比率が高い。その強みを最大限に発揮するなら、政府は人的資源の能力開発に最大の関心を持ち、予算を投入すべきだ。

 

これらの施策によってインドは、高い潜在成長率を短期間で再び実現することが可能になる。残念ながら、インドは今も容認しがたい水準の貧困、子どもの栄養失調など難題を抱えているが、その解決のためにも、高度成長は不可欠である。

深刻な世界経済の落ち込みでインド経済も大きな打撃を受けた。GDP(国内総生産)の成長率は04~07年度(注:インドの年度は日本と同じ4月から翌年3月まで)に平均8.9%だったが、08年度は6.7%に下降。昨年10月からインドの輸出は平均25%落ち込み、最近の数カ月間は製造業にマイナス成長の傾向が出ている。

(次頁へ続く)

ラジブ・クマール氏の略歴

1951年生まれ。 インド・ラクノウ大と英オックスフォード大で経済学博士号を取得。
インド工業省コンサルタント、財務省顧問、アジア開発銀行の研究員などをへて04~06年、インド産業連合会の主席エコノミスト。
政府の国家安全保障顧問委員会の委員などを務めた後、06年から現職。
英文の著書に『新次元の経済グローバル化』『インドとグローバル経済』『インドと自由化の経験』など。

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