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現場を旅する

[第98回]ダブリン、カモメが見守る喧噪

神谷毅 GLOBE記者




トリニティ・カレッジ図書館内部
photo:Kamiya Takeshi
ダブリン
アイルランド島東部に位置する人口約127万の都市。首都圏にはアイルランド全人口(約460万)の約4割が集まる。暖流の影響で平均気温は東京とあまり差がない。雨の日が多いのも特徴。

ハリー・ポッター好きの娘と一緒に来たら、とても喜んだだろう。


アイルランドの首都ダブリン中心部にあるトリニティ・カレッジ。400年余りの歴史を誇る大学の図書館に足を踏み入れると、書棚の陰から、魔法を学ぶハリーと仲間たちが今にも顔を出してきそうな雰囲気だった。博物館になっていて、1200年以上も前につくられた聖書の写本『ケルズの書』を目当てに、観光客がひっきりなしに出入りする。


図書館を出ると、しとしと舞うように降っていた雨がやんでいた。訪れたのは10月下旬。このころの欧州は、ぐずぐずした天気が多い。


中庭を抜けて校門を出る。日本関係の講義を受けている2人の学生と待ち合わせをしていた。ケイティ・ブラウンさん(18)。彼女の専攻はギリシャ・ローマの歴史だが、入学前に日本語を教えてもらった日本人の女性を懐かしがっている。


タイグー・ヒーリーさん(21)。2年生の彼は8カ月間、日本で英語を教えたり、旅をしたりしたことが大事な思い出。「一期一会」を漢字で書ける。


3人で、まずは南へ。5分もかからず、グラフトン通りに着いた。カフェやブティックが立ち並ぶ繁華街。そして「バスカー」天国。バスカーとは、ひとことで言えば大道芸人だ。


映画「ONCE ダブリンの街角で」(脚本・監督ジョン・カーニー、2007年)の主役の一人、男性のバスカーはここでギターを奏で、チェコからの移民の花売りの女性と出会った。私が訪れた時のバスカーたちは、カントリー音楽の米国人、胡弓の中国人、サクソフォンのモルドバ人、アイルランド人のバンド。私の息子はアイルランドのバンド「ザ・スクリプト」の熱狂的なファン。街の写真をスマホで送ると、すぐに、「彼らのホームタウンだ!」と返事がきた。


バスカーのアンドロナケさん
photo:Kamiya Takeshi

モルドバから来たヴラディミル・アンドロナケさん(26)に声をかけた。国立オペラのオーケストラでフルートを吹いていた。月200ユーロ(約2万6000円)の給料では暮らせず、6月からここでバスカー暮らし。フルートはウケないので、いま相棒はサクソフォンだ。


「ダブリンは忙しい街。お客さんがくれたお金を盗まれたこともある。大変かって? 音楽は僕の人生。いまの暮らしは、創造的ってやつだよ」


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