RSS

一食一会

突き刺さる「アンモニア臭」、エイを発酵 その起源は…

[第5回]韓国・全羅南道

大阪社会部記者 左古将規

川沿いに店が並ぶ羅州のホンオ通り
Photo: Sako Masanori

舌がしびれ、涙もこみ上げ


川の南岸に、ホンオの店が並ぶ「ホンオ通り」を見つけ、その一つに入った。箸で一切れつまみ、顔に10センチまで近づけたところで突然、「それ」は来た。


強烈なアンモニア臭。「ふわりと広がる香り」などという、グルメ記事の表現は似合わない。直線的で、鋭い。失礼を承知で率直に書くと、何日も掃除していないトイレのような臭気が、鼻の奥まで真っすぐ突き刺さる。


覚悟を決め、厚さ5ミリくらいの一切れを、息を止めて口に放り込んだ。身がしっかり詰まり、ねっちりとした食感。かむと、白身魚をうんと濃くしたようなうまみがにじみ出てきた。これはおいしいかも……。


次の瞬間、強烈な臭いが口の中に充満した。舌がピリピリとしびれ、涙までこみ上げてくる。慌てて、マッコリ(濁り酒)で飲み下した。


店のアジュンマ(おばさん)が「こうすると食べやすいよ」と実演してくれたのは、よく発酵したキムチと蒸した豚肉を重ねて、のりで巻いて食べる方法。確かに臭いがマシになり、濃厚なうまみを味わえる。


ただ、2人で食べるような大皿に1人で挑戦したのは失敗だった。


宿に戻って眠ろうとしても、胃の奥底から、あの強烈なアンモニア臭がこみ上げてくるような気がした。


左古将規

1976年生まれ。GLOBE編集部を経て大阪社会部記者。強烈に発酵したホンオフェを食べた後、腹ごなしに川沿いを散策した。おなかの中でしばらく、何かが戦い続けていた。

この記事をすすめる 編集部へのご意見ご感想

  
ソーシャルブックマーク
このエントリーをはてなブックマークに追加

Back number | バックナンバー

[第8回]米国・パロアルト フュージョン・スシ

[第8回]米国・パロアルト
フュージョン・スシ

[第7回]北マリアナ連邦・テニアン 干し肉

[第7回]北マリアナ連邦・テニアン
干し肉

[第6回]フランス・パリ ギョズレメ

[第6回]フランス・パリ
ギョズレメ

[第5回]韓国・全羅南道 ホンオフェ

[第5回]韓国・全羅南道
ホンオフェ

[第4回]タイ・チャイヤプーム スカトー寺の食事

[第4回]タイ・チャイヤプーム
スカトー寺の食事

[第3回]ラオス・ルアンプラバン カオソーイ

[第3回]ラオス・ルアンプラバン
カオソーイ

Popular article | 人気記事

さらに記事を見る
Facabookでのコメント

朝日新聞ご購読のお申し込みはこちら

Information | 履歴・総合ガイド・購読のお申込み

Editor's Note | 編集長から

PC版表示 | スマホ版表示