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一食一会

フルコースに屋台料理も 意外とリッチ、修行僧の食生活

[第4回]タイ・チャイヤプーム

太田啓之 GLOBE記者

Photo: Ota Hiroyuki

「汚れきったわが身を鍛え直そう」と一大決心し、2月末からタイの山奥にあるスカトー寺で、8泊9日の瞑想修行を体験取材した。読経、瞑想、掃除、説法と、ひたすらまじめで健康的で刺激のない日々。寺の敷地内の池にかかる橋の上にいると、すばらしく心地よい風が通っていく。ここで缶ビールを「プシュッ」と開けられたら、村上春樹も真っ青になるぐらいの、ビールを称える名文をものにできただろうに。


しかしここはアルコールがご法度の修行寺。次善の楽しみは「食事」しかない。刑務所生活でも、唯一無二の楽しみは食事だというし。私もいつしか、毎朝7時半から寺の集会所で供される朝食が、一番心ときめくイベントになっていた。


「禅寺の精進料理みたいにストイックな食事では」という当初の不安は裏切られ、出てきたのはビュッフェスタイルのオーソドックスなタイ料理。


ある朝のメニューは、酢豚に似た野菜の炒め煮、「ナムプリック」というタイ定番のおかずペースト、キノコのトムヤムスープ、大豆とココナツで作ったモチモチしたお菓子など、デザートまで完備のフルコース。これに、朝の托鉢で頂いた様々な供物が加わる。「こんなに食べちゃって、悟れるの?」と思うぐらい、質、量ともに充実しているのだ。

Photo: Ota Hiroyuki

寺で料理長を務める女性修行者ライオ(66)によれば、使っている野菜はお寺の畑や近くの村で採れた有機無農薬のもの。かつては日本人の修行者が厨房に立っていて、その頃のレシピも受け継がれているという。なるほど、ついつい食べ過ぎちゃうのは、そのせいかも。



(次ページへ続く)

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