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「王国」は再起できるのか? インドネシアのバドミントン

[第104回]

「結果」だけを求める政府

ファンたちの声援は、いつも熱狂的だ。
Photo:Furuya Masanobu

ただ、国技として期待が大きいだけあってか、先行きには悲観論も多い。「あの結果には本当に腹が立った。代表チームは史上最底辺にある」。危機感をあらわにしたのはルディ・ハルトノ(68)。72年のミュンヘン五輪で公開競技として初めて行われたバドミントンで、男子シングルスの金メダルを取った重鎮だ。


彼によると、多くの国が公的な支援をバドミントンに注いでいるのに比べて、インドネシア政府は「結果を求めるだけ」。練習環境の整備をはじめ若手の育成を怠ってきたという。個人的に国民に謝ったバルセロナ五輪の金メダリストのスシも「目下の課題」と認める。


確かに、低迷ぶりは目立つ。五輪でのメダル獲得数は、バドミントンが五輪の正式競技になったバルセロナは5個だったが、2012年のロンドン五輪はゼロ。16年のリオも1個にとどまった。


強豪国としての地位を築いた原動力は、ハルトノやスシら、「華人」と呼ばれる中国系市民の置かれた苦境だったとされる。65年のクーデター未遂事件後、独裁を続けた当時の大統領スハルトは華人を共産主義の手先として敵視した。華人にとってはスポーツが国民としての存在感をアピールできる手段となった。


インドネシアは98年のスハルト失脚後に民主化を果たした。年5%ほどの経済成長を続け、日本をはじめ世界が注目する新興国の一つだ。「いまの華人の若者のほとんどはビジネスに目を向ける。華人以外の育成も含めて国は何とかすべきだ」とハルトノは言う。


今年は4年に1回のアジア大会がジャカルタなどである。王国の意地は見せられるのか。スシによると国は金メダル二つを厳命している。


(文中敬称略)


ふるや・まさのぶ

1972年生まれ。社会部、経済部などを経て2014年9月から現職。バドミントンの試合の取材で、高速で飛び交うシャトルを何度も見失い、加齢を感じた。

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