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[第92回]「韓流」GK、目指すはJリーグ なぜ彼らは海を渡るのか?



大きな体でも速い動き

ク・ユンソン
photo:Shimizu Toshiyuki

なぜ今、韓国出身GKが脚光を浴びるのか。川崎のゼネラルマネジャー庄子春男は「あれだけ大きな体で動ける選手が、日本にはいない」。昨季、Jリーグでベンチ入りした日本人GKの平均身長が約185センチなのに対し、韓国出身GKは約190センチ。川崎のGKコーチ菊池新吉は「韓国選手が1歩で届くボールに、日本選手は2歩ステップを踏んでやっと届く。シュートを打つ選手への威圧感も違う」と話す。


「アジア枠の存在が大きい」とは、Jリーグ副理事長の原博実の見立てだ。Jリーグが09年に導入した制度で、欧州や南米などの出身選手とは別に、アジアサッカー連盟加盟国の選手を1人出場させられるようになった。


いまでこそ日本にGKを引き抜かれる立場となった韓国だが、かつては人材不足に悩んでいた。GKの地位が低く見られ、Kリーグでの年俸が他のポジションの選手に比べて6割ほどに抑えられる傾向があり、有望な選手が集まりにくかった。さらに、多くのKリーグクラブが東欧出身選手をGKに重用したため、韓国選手の出場機会は減る一方に。99年からはGKを韓国人限定にするルールをつくり、自国のGKを育てようとした。


風向きは、日本と共催した02年W杯で変わった。韓国代表はアジア勢で過去最高の4位に。スペインやイタリアなど強豪国の猛攻をしのいで勝ち上がった姿を通じて、GKの人気が一気に高まった。他のポジションとの年俸差も解消され、GKを目指す若者が増えたという。

Kリーグ競技委員長の趙
photo:Shimizu Toshiyuki

ただ、せっかく育ったGKたちが次々と日本へ渡ってしまう流れはしばらく続きそうだ。昨年までKリーグのクラブで選手育成を担当していた、Jリーグ群馬コーチの林浩哲 (イム・ホチョル)は日韓のサッカー人気の違いを挙げる。「日本では練習場にファンが見学に来るのは当たり前だが、韓国では考えられない。選手たちのやりがいも違ってくる」。昨季のJリーグ1部の平均観客数は1万7968人で、Kリーグ1部は7866人。プロ野球やバスケットボールなどの人気に押されているという。


1月28日には、昨季まで3年連続でKリーグのベストイレブンに選ばれた権純泰(クォン・スンテ、32)が、全北から鹿島に移籍すると発表された。Kリーグ競技委員長の趙兢衍(チョ・グンヨン)は言う。「選手に出て行くなとは言えないが、個人的には残って欲しい。韓国でも何とかサッカーブームを起こしてお客さんを増やしたい」(文中敬称略)


しみず・としゆき

1978年生まれ。身長は182センチあるが、今回の取材では見上げながら話を聞くことが多く、韓国出身GKの大きさを肌で感じた。


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