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[第82回]プロ化進む ドイツの車椅子バスケ




ドイツで、車椅子バスケットボールが注目を集めている。試合を開催すれば1000人以上の観客が集まり、プロ化も進む。人気の根底には、「誰もがスポーツを楽しむのが当たり前」という文化が流れている。(スポーツ部・後藤太輔)


車椅子バスケットの試合会場は熱気に包まれ、応援も盛り上がっていた
photo:Goto Taisuke

派手な音楽とチアリーダーに迎えられ、スポットライトを浴びながら選手が入場してきた。ドイツの車椅子バスケットボール・ブンデスリーガ1部の試合会場。スポンサー企業の広告が所狭しと掲げられ、1枚8ユーロの当日券を手にした約1250人の観客からは、歓声と拍手がわきおこった。


2月27日の試合は、2位のラン・ディルが、3位のハンブルクを迎えた大一番だった。車椅子同士が接触し、「ガシャ」という音と共に激しく転倒する。試合は、ラン・ディルが75対62で勝利した。



プロ選手も誕生


フランクフルトから車で北に約1時間。人口約5万の田舎町ウェツラーを拠点とするラン・ディルは、リーグ優勝12回、欧州チャンピオンズリーグ優勝6回を誇る人気と実力を兼ね備えた強豪クラブだ。試合には平均約1100人の観客が集まり、2010年のプレーオフでは、過去最多の約3900人を記録した。夫婦で応援する地元のマルクス・ナイツルは「小さな町のチームなのに、世界で戦って結果を残している。チームは町の人の誇りなんです」と自慢する。


クラブの創設は1983年。15年前まで、観客は50人程度だった。だが新聞広告やフェイスブックや携帯アプリなど、様々な媒体を通じて発信してきた。マーケティング担当のアンドレアス・ヨネックは「障害者スポーツではなく、サッカーのようなプロスポーツとして観客に見せようと努力してきた」と話す。


125社のスポンサーに支えられ、年間予算は約70万ユーロ(約9000万円)にのぼる。クラブが年俸を払う7人のプロ選手と、別の仕事と掛け持ちする5人のセミプロ選手がいる。


日本代表の香西宏昭、藤本怜央、千脇貢の3選手がプレーする名門ハンブルクでも、プロ化が進む。クラブに所属して3季目の香西は「普通に生活していける程度の収入がある」。藤本は「ファンは障害者が頑張っている、という同情ではなく、勝つ姿を見に来ている。だから僕らは疲れを言い訳にできない」と話す。


70年代に創設された車椅子バスケのリーグは6部まであり、登録選手は2000人以上。「ドイツ車椅子スポーツ連盟」に登録するクラブも約330あり、競技人口は9000人に達する。欧州一の競技熱を支えるのは、「誰もがスポーツを楽しむのが当たり前」という伝統的なスポーツ文化だ。


ハンブルクのメインスポンサーの一つに、地元の労災病院がある。障害を負った患者の了解を得ると、彼らの個人情報をスポーツ団体などに提供し、勧誘するよう促している。


ドイツ車椅子スポーツ連盟研修部のホルスト・ストローケンデルは「落ち込んでいる患者の元を、同じ障害を持つ人やその家族が訪ね、重い障害の人も楽しくプレーする映像を見せている。トップ選手はスポーツを通じてどう社会に復帰したか、その人生や家族の物語を伝えている」と説明する。スポーツ用車椅子の使い方などを習う費用は、労災保険や医療保険でカバーされるという。


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