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「日本人もパレスチナ難民を知って支援を」 米国の拠出金凍結受け、日本でも寄付サイト登場

ミュージックセキュリティーズ小松社長「将来は現地スタディーツアーも」

パレスチナ自治区ガザ地区の診療所=清田明宏さん撮影

トランプ政権の米国が1月、国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)に対する支援を大幅に凍結した。これを受けて、UNRWAは5億ドル(約555億円)の調達を目標とした世界的な資金調達キャンペーン「#尊厳を守る」(#DignityIsPriceless)を開始。日本国内では、ネットで事業資金を集めるクラウドファンディング運営の「ミュージックセキュリティーズ」(東京)がこのキャンペーンに賛同して2月26日、寄付サイトを立ち上げた。(GLOBE編集部 中野渉)



UNRWAによると、日本で国連機関を直接支援の対象にしたクラウドファンドは初めて。


ミュージックセキュリティーズの小松真実(まさみ)社長(42)は「予算が足りなくなって学校の先生や病院などで働く人たちの給料が払えなくなるとパレスチナの人たちが困ると思い、緊急的にキャンペーンを始めることにしました」と話す。知人だったUNRWA保健局長で医師の清田明宏さん(57)から話をもちかけられ、2月に来日したUNRWAのピエール・クレヘンビュール事務局長と面会、寄付サイトを立ち上げることで合意した。

パレスチナ自治区ガザ地区=清田明宏さん撮影

UNRWAは70年にわたり、食料や教育支援、健康サービスなど多分野でパレスチナ難民の生活を支えてきた。UNRWA設立時は75万人だったパレスチナ難民は今ではイスラエルのパレスチナ自治区や隣国ヨルダン、レバノンなどで530万人超となっているが、解決の見通しはたっていない。


この状況のなか、米国のトランプ大統領は昨年12月にエルサレムをイスラエルの「首都」と宣言し、テルアビブから大使館を移転する準備をするよう国務省に指示。エルサレムはユダヤ教、キリスト教、イスラム教の聖地でありイスラエルはエルサレム全域を「首都」と宣言しているが、国際社会は「首都」と認めておらず反発している。


さらにトランプ氏は1月3日、自身のツイッターに「パレスチナに対して毎年何百億ドルも支払っているが、米国は感謝も尊敬もされていない」「パレスチナはもう和平を望んでいないのに、米国が大規模な支払いをしなければならないのか」などと、援助の打ち切りを示唆する次のような投稿をした。




米国務省は、1月上旬にUNRWAに支払う予定だった拠出金1億2500万ドル(約138億円)のうち半額以上にあたる6500万ドルを凍結すると発表。日本政府は1月末、パレスチナ支援の国際会議で、UNRWAへの支援も含めた約4000万ドル(約44億円)の支援を実施する方針を明らかにしている。


ミュージックセキュリティーズの小松さんは寄付サイト立ち上げについて「お金を社会問題に施すことと、『インパクト投資』の意味があると思っています。このファンディングは金銭的リターンがないのですが、中東の和平に貢献するということが日本社会の利益になるという意味でのソーシャルインパクト、つまり波及効果があると考えていますと話す。


さらに「UNRWAに対して日本人は政府を通じてお金を拠出していますが、個人個人が自分の意思でパレスチナの現状をよく理解をして、寄付をしていくということが大切だと思っています」と力を込めた。ミュージックセキュリティーズの目標は1億円で、サイトで集まった寄付金は全額UNRWAへ送る。

ミュージックセキュリティーズの小松真実社長=3月、東京都千代田区、中野渉撮影


UNRWAの清田さんは「UNRWAはいま、本当に未曾有の危機です。日本からは遠いパレスチナの地のパレスチナ難民ですが、彼らが今もっとも必要としている支援が届けられるよう、是非ご協力をお願いします。そしてそれを支えてくれるクラウドファンドのキャンペーンは本当に素晴らしい」と話した。


小松さんは学生時代、バンドでドラムをたたいてプロのミュージシャンを目指していたが2000年、インディーズ系音楽のCD制作を応援するミュージックセキュリティーズを創業。国内だけでなく、貧困国での小口融資事業まで幅広い分野を対象に出資するファンドの企画・運営を行ってきた。


2011年の東日本大震災の際には、半額を寄付、半額を出資する復興ファンドを立ち上げ、延べ3万人から11億円を集めた。また16年の熊本地震でも同様のファンドを設けた。


「まずは当社の8万人の既存投資家に対して働きかけます。そして、パレスチナ支援の機運を高めていきたいです」と小松さん。これまで、国内の被災地応援ファンドツアーを実施してきたが、将来は、パレスチナ自治区へのスタディーツアーを開いて投資家を連れていきたいと意気込む。

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