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【創刊からの9年】「俺たちは、普通に暮らしている」福島の高校生は今


 太平洋を望む福島県広野町の広野中学の教室。窓から差し込む陽光の中で、3年生17人が笑っている。2015年1月発行の「福島→←世界」(151号)を飾る1枚だ。


 東日本大震災が起きた時、小学5年生だった彼ら。20~30キロ離れた福島第一原発の事故で、散り散りになった。広野町に戻って中3になった生徒たちが米国・サンディエゴでの交流プログラムに参加した体験を記事は伝えている。


GLOBEが中学3年当時の彼らを取材した2015年1月の特集紙面


 あれから3年。彼らはどうしているのか。17人のうち2人の生徒を訪ねた。


 土屋昌(まさし)(17)は「県立ふたば未来学園高校」の3年生になっていた。原発事故で休校した双葉郡内5校に代わり、復興の目玉として15年春、広野町内に開校した新設校だ。


 土屋は原発事故後、千葉県で避難生活を送った。転校初日は不安だったが、サッカーを通じて仲良くなれた。避難者へのいじめをニュースで知り「自分はみんなに優しくしてもらえた」と感じた。


 初の海外だった米国は驚きの連続だった。ホームステイ先の冷蔵庫やアイスクリームが「巨大」。大事故があったのに「福島」を知らない人が多い……。遊園地で英語が分からず「YES」と言っているうちに、怖がりの自分がジェットコースターに乗れていた。「行動してみることが大事」と気付いた。


 広野町を離れる同級生が多い中で、土屋は地元の工場に就職して町に残る。「ここにずっといて、町の人とスポーツをしながら暮らしていくのかな。でも、若い人がいなくて……結婚できるかな」とつぶやいた。

GLOBEのフロント写真を飾った広野中の教室を3年ぶりに訪れた土屋昌(写真右)と根本陽大。震災後、小学校を間借りしている校舎は階段や洗面台が小学生仕様で、何もかもが小さい


 土屋と一緒に広野中から未来学園高へ進学した根本陽大(はると)(17)は来春、東京の大学の法学部に入学する。震災後に地元警察署で職場体験をし、福島県警に入る夢ができた。「何があってもすぐに駆けつける警察官になりたい」


 避難や転校、友達との別れ、米国行き……。震災がなければ、こんな経験はしなかった。翻弄された存在に映る。だが、根本は土屋と並んで座り、力をこめた。「俺たちは、ここで、ふつうに暮らしている」。振り回されずに自分の足で立ち、生きていく。そんな思いが伝わってきた。



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