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北朝鮮は本当に孤立しているのか

アフリカ研究者 白戸圭一 11

意図的な「制裁破り」の可能性も

北朝鮮の人権問題について議論する国連安全保障理事会

 北朝鮮の核実験やミサイル発射を受けて2013年に成立した国連安保理の対北朝鮮制裁決議2094号は、国連加盟国(全193カ国)が北朝鮮との武器及び関連物資を貿易することをほぼ全面的に禁止している。

 だが、現実には、北朝鮮が核・ミサイルを開発しても、日本のように直接的な安全保障上の脅威にさらされる国は多くない。とりわけ筆者が専門とするアフリカの国々に日本の問題意識が共有され、彼らが積極的に国連の制裁に協力してきたかというと、そうではなかった。

 安保理の制裁委員会は、すべて加盟国に対し、国内での対北朝鮮制裁実施状況についての報告を義務付けている。だが、17年4月現在、国連加盟国193カ国のうち安保理に報告した国は106カ国にとどまっており、このうちアフリカ54カ国の中で報告書を提出した国は12カ国に過ぎない。


 アフリカ諸国が制裁状況について報告しないのは、各国政府の行政執行能力の低さに起因する場合もあるが、それだけではない。今世紀に入って北朝鮮の核・ミサイル開発が本格化し、国連安保理が制裁を科すようになる以前から北朝鮮との間で軍事協力関係を結んでいたために、意図的に「制裁破り」しているとみられるケースもある。 

 例えば、09年11月には、南アフリカに寄港したコンゴ共和国に向かう北朝鮮船舶から戦車部品が見つかったことがある。コンゴの首都ブラザビルには12年3月に爆発事故を起こして閉鎖されるまで、北朝鮮が建設した武器工場があった。

 ウガンダ政府は07年、北朝鮮との間で警察官の訓練に関する契約を締結した。関係者によると、ウガンダの警察官4万3000人のうち、13年までに1万6700人が北朝鮮人民保安省の訓練を受けた。北朝鮮から約100人の講師が派遣され、ウガンダ政府は講師1人に一カ月500ドルを支払ったという。

 これらの事例は氷山の一角とみられ、安保理や主要国の情報機関には、アフリカにおける北朝鮮製の武器や専門家の目撃例が数多く寄せられている。兵器輸出や専門家派遣は、北朝鮮にとっては外貨獲得ビジネスであり、アフリカ側にとっては軍事力強化へ向けた最も安価な手段なのである。


(次ページへ続く)

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