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中国は本当に嫌われているのか

アフリカ研究者 白戸圭一 07



巨額の経済支援で影響力


 21世紀初頭のアフリカで起きた最大の「事件」は、アフリカ諸国に対する中国の影響力の劇的な増大である。

 2001~15年の15年間で、サブサハラ・アフリカ(サハラ砂漠以南アフリカ)から中国への輸出(金額ベース)は約11倍に、サブサハラ・アフリカの中国からの輸入(同)は約12倍になった。中国は今やサブサハラ・アフリカにとって最大の貿易相手国である。

 アフリカ向け投資の動向を見ると、14年末時点の中国の対アフリカ投資残高は約325億ドルと推定される。アフリカと歴史的に関係の深い英仏の500億ドル超には及ばないものの、日本の約100億ドルを遥かに凌ぐ。

ケニアでは今年、中国の支援により鉄道が開通した

 政治的関係に目を転じれば、中国は00年から3年に一度のペースで中国・アフリカ協力フォーラム(FOCAC)と称する首脳会議を開催し、アフリカ各国の首脳たちとの関係構築に努めている。中国は巨額の経済支援をすることで、各国の政権に影響力を行使することを目指しているのだ。エチオピアの首都アディスアベバのアフリカ連合(AU)本部ビルが中国の援助で建設されたことは、中国の狙いを端的に物語る。


中国は地元の雇用を奪う?

 中国がアフリカでの存在感を強めるにつれ、中国を「新植民地主義者」と断じ、アフリカにおける対中感情の悪化を伝える報道が欧州や日本で見られるようになった。その結果なのか、私の周りを見回すと、「中国は資金、労働者、機材など全てをアフリカに持ち込み、地元の人々の雇用機会を奪っているため、アフリカ諸国で嫌われている」という認識が日本社会に根付いた感さえある。


 では、本当に中国はアフリカで嫌われているのだろうか。「好き嫌い」のような個人的感情の社会分布を客観的に把握することは困難だが、いくつかの手掛かりはある。

 一つは、英国のBBCが14年6月に結果を公表した世界規模の世論調査「World Service Poll 2014」である。年に1回実施されてきたこの調査は、14年を最後に実施されなくなってしまったので、最新情勢を知ることはできないが、アフリカの人々の対中感情の趨勢を把握するに有用である。


(次ページへ続く)

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