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ネットフリックスの求心力、気骨ある映画人ほど強く~韓米合作『オクジャ/okja』

来日記者会見に臨むポン・ジュノ監督(右)と主演のアン・ソヒョン=相場郁朗撮影



シネマニア・リポート Cinemania Report [#52] 藤えりか




最近、加速的に増えている米国の動画配信サービス最大手「ネットフリックス」のオリジナル映画。「ネット配信ありきの映画なんて!」と反発する人もいるが、物議を醸す作品を撮る自由が世界の著名監督にも失われつつある現実を見逃してはならない。29日にネット配信が始まった韓米合作『オクジャ/okja』(原題: 옥자/Okja)(2017年)のポン・ジュノ監督(47)の記者会見で質問し、改めてそう感じた。作品全体を覆うのは、既存の多国籍企業をモデルにした、遺伝子組み換え産業や食品・バイオテクノロジー企業のあり方への痛烈な批判だ。

Netflixオリジナル映画『オクジャ/okja』

『オクジャ/okja』の舞台は韓国そして米国。少女ミジャ(アン・ソヒョン、15)は韓国の山奥で祖父ヒボン(ピョン・ヒボン、75)と暮らしながら、巨大な動物「オクジャ」を家族または親友として幼い頃から世話し、ともに自然の中を駆け回っていた。そこへ米国発の多国籍企業ミランド社の一行が、同社の広告塔と化した動物学者ジョニー・ウィルコックス博士(ジェイク・ギレンホール、36)とともにやって来る。オクジャは実は、企業イメージを高めたいミランド社の最高経営責任者(CEO)、ルーシー・ミランド(ティルダ・スウィントン、56)が10年前、自然に育ったと見せかけるため世界各地の農場に送り込んでいた遺伝子組み換えの食用ブタだった。ミランド社はニューヨークでの食用ブタのコンペティションに登場させるためオクジャを捕獲、ミジャは必死で助け出そうとする。そこへジェイ(ポール・ダノ、33)が率いる「動物解放戦線(ALF)」のメンバーたちが、オクジャを利用する形でミランド社のウソを暴こうと、ミジャに手を差し伸べる――。


『殺人の追憶』(2003年)や『グエムル―漢江の怪物―』(2006年)、韓・米・仏・チェコ合作『スノーピアサー』(2013年)などのヒット作で知られるポン監督は、今作『オクジャ/okja』で共同脚本・製作も担った。製作陣はネットフリックスや、ブラッド・ピット(53)が創設した「プランBエンターテインメント」のほか、『スノーピアサー』にも出演したティルダも入り、米メディアによると製作費約5000万ドル(約56億円)の大作となった。だが今年のカンヌ国際映画祭のコンペ部門に出品すると、フランス映画館連盟を中心に「アメリカ文化の経済侵略だ」と反発が巻き起こり、「来年以降、フランスの映画館での上映が約束されない作品は、コンペ部門への参加を認めない」と映画祭の事務局が声明を出すに至った。韓国では全国の劇場の100余りのスクリーンで同時に公開されるが、一部の劇場チェーンは上映をボイコットしているという。

ティルダ・スウィントン(左)とアン・ソヒョン=Netflixオリジナル映画『オクジャ/okja』

主演のソヒョンと来日したポン監督は、東京での記者会見で語った。


「大きなスクリーンで、いろんな人たちとともに泣いたり笑ったりしながら見るのは依然として、映画を見る最も美しい形。でも今はテクノロジーが飛躍的に発展、家にホームシアターセットを備え、フルハイビジョンや4Kの画面で5.1chや7.1chの音響とともに映画を見ることも可能になった。デジタルストリーミングによる視聴も映画を見るひとつの形ではないかと考えている」


そのうえで、ポン監督は「テレビが普及し始めた頃も、『映画はもう終わった』『劇場は終末を迎えた』と非常に深刻に恐れを口にする人たちがいたけれど、実際はそうしたことなど起きず、テレビと映画は共存している。デジタルストリーミングも今後、映画と平和に共存していくものと考えている。共存の方法については、私のようなクリエイターよりも、映画産業に携わる方々がこれから整理していくのではないかと思う」と話した。

記者会見で質問に答えるポン・ジュノ監督(右)とアン・ソヒョン=相場郁朗撮影
(次ページへ続く)

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