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オリバー・ストーンはなぜトランプに期待し、そして失望したのか~シネマニア・リポート[番外編]

対談:津田大介 x 藤えりか@下北沢・本屋B&B 

『なぜメリル・ストリープはトランプに嚙みつき、オリバー・ストーンは期待するのか』(幻冬舎新書)。GLOBE編集部の藤えりか記者が執筆し、3月末に発売された新書だ。その刊行を記念して5月3日、東京・下北沢の本屋B&Bで、藤記者と、ジャーナリストの津田大介さんとの対談イベント「トランプvs.ハリウッド~映画で見るアメリカの真の姿」が開かれた。

政治的な発言を恐れないマット・デイモン

Photos: Semba Satoru

同書は、当サイトの藤記者のコラム「シネマニア・リポート」をまとめ、加筆したもの。世界の映画人へのインタビューを通して、現代のアメリカや世界を描く取材コラムだ。イベントではまず、この連載を始めたいきさつなどが語られた。


2011~14年に朝日新聞のロサンゼルス支局長を務め、アカデミー賞授賞式は4年連続、現地で取材した藤記者。「自分の意見をはっきり言う俳優や監督に会って影響された」「米国の記者は、映画記者でも政治的な問題などを、厳しく聞く。負けていられないと思いました」と言う。


その「自分の意見をはっきり言う俳優」の代表格として挙げられたのが、『ジェイソン・ボーン』(2016年)などで知られるマット・デイモン。米大統領選前にインタビューしたマットとやり取りした音声の一部を、映像と字幕とともに紹介した。津田さんからは「パブリシスト(広報担当者)ともめることはないんですか」と質問があった。


藤記者の答えは「本人がそう話していることなので、もめることはありませんでした」。とはいえ、映画の宣伝をしたい広報担当者からすると、政治的な話は避けてもらいたいところ。「マットのときは、私の後ろにパブリシストがずらっといました。その様子を撮影しながら見ていた仙波理カメラマンによると、私がトランプなど政治問題について聞いていた間、イライラしている様子が見てとれたそうです。マットからはそれが見えているはずなんですが、何ら気にすることなく、私の質問に誠実に答え続けた。すごいと思いました」と振り返った(当時の記事はこちら)。


批判されたメリル・ストリープのトランプ批判

ただ、ハリウッドの政治的な発言は、必ずしも人々に支持されるわけではない、という現実もある。その例に挙げられたのが女優メリル・ストリープ。トランプの大統領就任を控えた今年1月のゴールデングローブ賞授賞式で、排外的な発言をいとわないトランプを暗に批判するスピーチをし、大統領選の民主党候補だったクリントンの支持者を中心に大絶賛された。だが、実は批判的な意見も少なくなかった。



藤記者が「象徴的だった」と紹介したのは、「ハリウッドには外国人がたくさんいる。もし外国人を追い出したら、あとはフットボールと、マーシャルアーツ(格闘技)ぐらいしか見るものはない。それは”アート”なんかじゃないけれど」というメリルの発言に、出席者が喝采した場面だ。「フットボールやマーシャルアーツを見下すような発言をして、ワーッと拍手を送る人たちが軒並み、ドレスにタキシード姿。これは反感を買いますよね」。津田さんも「『どうせトランプの出ていたリアリティー・ショーとか、プロレスを見ているような奴らは底辺だろ』というおごりが見えるんですよ」。


「メリル・ストリープって女性の地位向上に取り組んだり、ハリウッドの年齢主義と闘ったりしてとても尊敬しているんですけれど、結局この世界に毎日いると、どっか麻痺しちゃうんじゃないかなって思うんですよね」。藤記者が言った。



(次ページへ続く)
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