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遠藤乾・北大教授の現地報告が始まります

欧州はどこへ――岐路のフランス大統領選を追う





昨年6月に英国が国民投票によって欧州連合(EU)からの離脱を決定し、11月には米大統領選でドナルド・トランプ氏が当選しました。グローバル化が進む世界で、逆に内向きの動きが力を強め、予想外の出来事を次々と生み出しています。


近く予定されているフランス大統領選は、そのうねりが欧州大陸にも押し寄せるかどうかの岐路となるでしょう。トランプ氏らと同様に保護主義や移民排斥を掲げ、欧州連合(EU)からの脱退も視野に入れるポピュリズム政党「国民戦線」のマリーヌ・ルペン党首(48)が波に乗って勝利を収め、フランスを閉鎖的な国家に変えようとするか。開かれたフランスを求める候補が勝って、その波を押し返すか。



2月5日、フランス中部リヨンでの決起集会で支持者の前に立つ国民戦線のマリーヌ・ルペン党首

ことは、フランス1国の問題にとどまりません。フランスはドイツとともに、EUの要として欧州統合の推進役を務めてきました。もしフランスに反EU政権が生まれると、EUはその支柱を失い、立ち行かなくなる恐れが拭えません。欧州はこれまで、「自由」「民主主義」「人権」といった理念を世界に広めるうえでの拠点となってきましたが、その役割にも大きな陰りが予想されます。


この選挙の結果は、世界の行く末にも大きく影響するでしょう。フランスでのポピュリズム政権誕生は、米トランプ政権、ロシアのプーチン政権などと結びつき、一種の枢軸態勢を築くことになるかもしれません。それは、国際法支配に基づいてきたこれまでの世界秩序を大きく変えかねないのです。


フランス大統領選は、第1回投票が4月23日に、上位2人による決選投票が5月7日に予定されています。ルペン党首のほか、右派「共和党」のフランソワ・フィヨン元首相(63)、左派「社会党」のアモン前国民教育相(49)、中道左派のエマニュエル・マクロン前経済相(39)、「左翼戦線」を率いるジャンリュック・メランション欧州議会議員(65)の計5人が有力候補とみられています。



リヨンでの集会でマリーヌ・ルペン党首に声援を送る支持者ら

世論調査では、ルペン氏がトップを走り、これをマクロン氏が激しく追う展開となっています。フィヨン氏は当初有力とみられましたが、家族の金銭スキャンダルなどで大きく支持を落とし、上位2人に差を付けられました。アモン、メランション両氏は支持をまとめ切れていません。


GLOBEは、欧州研究の第一人者である遠藤乾・北海道大学教授と連携しつつ、この選挙の推移を追います。選挙戦の模様と、その背景にある文明社会のひずみ、有権者の意識などについて、教授による現地調査の報告や分析を、順次ウェブサイトに掲載します。その全体像は、GLOBE6月号でまとめます。


近く掲載する第1回では、2月4、5日にフランス第2の都市リヨンを訪れた遠藤教授の報告を予定しています。この両日、ルペン氏は決起集会を開催し、事実上の選挙戦入りを打ち上げました。一方、ルペン氏を主要な標的と定めるマクロン氏は、これにぶつける形で4日、同じ街で集会を企画したのでした。





遠藤乾(えんどう・けん)

北海道大学大学院法学研究科・公共政策大学院教授。専門は国際政治、ヨーロッパ政治。1966年東京生まれ。オックスフォード大学政治学博士。欧州委員会内諮問機関「未来工房」で専門調査員としても勤務し、欧州大学院大学政治社会学部フェルナン・ブローデル上級研究員、パリ政治学院客員教授などを歴任した。現在は朝日新聞論壇委員も務める。著書に『統合の終焉 EUの実像と論理』(岩波書店、読売・吉野作造賞受賞)、『欧州複合危機』(中央公論新社)など、編著に『ヨーロッパ統合史』『原典ヨーロッパ統合史――史料と解説』(いずれも名古屋大学出版会)などがある。

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