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南スーダン 和平を見守る現場から (5) 

さらわれた子供の故郷を探す

赤十字国際委員会フィールド要員 淡路愛

アフリカの南スーダンは、約40年の内戦を経て独立した後も、一部の地域で戦闘が散発しています。日本から遠く離れたこの国で、日本人女性、淡路愛(あわじ・あい)さんは、赤十字国際委員会(ICRC)の要員として、活動を続けています。今回は、誘拐された子供たちを保護し、故郷に戻すまでのICRCの活動を報告します。

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エチオピアから4年前に誘拐され、このほど南スーダンで保護された少年と面会するICRCのフィールド職員(筆者撮影)

「この写真に写っている人は誰かな?」


「ババ(お父さん)!ババ!」


昨年11月のある晴れた朝のこと。くりっとした瞳の人懐こい4-5歳の女の子が私のスマートフォンの画面を好奇心いっぱいの瞳で見つめていた。隣には3歳前後の男の子。不安げな表情が気になる。


2人は、南スーダン国境に近いエチオピアの街で昨年4月に発生した大規模な家畜強奪事件の際、襲撃犯にさらわれて南スーダンの牧畜キャンプに連れてこられ、別々に育てられていた。10月下旬に近隣住民の通報を受けた地元当局が2人を保護。赤十字国際委員会(ICRC)に対し、2人の家族の捜索や身元の確認、帰還に至るまでの手続きを行うよう要請していた。


政府軍・反政府勢力間の武力紛争に比べると国際的な注目度は低いが、家畜強奪と児童誘拐は、長きにわたり南スーダンの多くの地域で一般市民の生活を脅かしてきた深刻な問題だ。

南スーダン・上ナイル地域の牧畜キャンプ。同国では家畜強奪や児童誘拐といった暴力事件が後を絶たず、一般市民の生活に大きな影響を与えている(筆者撮影)

以前、家畜予防接種キャンペーンの記事で触れたとおり、同国の遊牧民にとって家畜は単なる生計手段以上の重要な意味を持つ。「財産」を増やすため、他の部族地域を襲撃し、家畜を強奪し、女性子供を誘拐するという犯罪が依然としてはびこっているのだ。


(次ページへ続く)
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