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ニュースの裏側

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[第46回]CNNはなぜ、災害報道に力を入れるのか







昨年11月、フィリピンを襲った史上最大級の台風。米国のニュース専門局CNNは上陸前から現地に乗り込んで独占映像を送り続けた。CNNが自然災害の報道に力を入れる理由とは――。







押し寄せる海水、がれきの山と化した民家、地べたに座り込む住民たち──。昨年11月、米国のニュース専門局CNNの独占映像に世界が息をのんだ。フィリピンで死者約6000人を出した史上最大級の台風30号の中継だった。


CNNは、壊滅的な被害が出たレイテ島タクロバンの状況をいち早く伝えた。その生々しい映像は、各国政府や国際機関に緊急支援を促し、多くのボランティアらを動かした。


現地から実況中継したのは、CNN香港のアンカーで、オーストラリア人のアンドリュー・スティーブンス。最大瞬間風速90メートル、竜巻級の自然の猛威を体験した数少ない外国人特派員だ。


実はCNN香港は台風が上陸した11月8日朝より前に、彼をタクロバンに送り込んでいた。タイミングを見計らい、用意周到に。日本の報道機関のタクロバン入りは、CNNより2日遅れた。


香港はCNNにとって、アジア太平洋地域のニュースの統括拠点だ。管轄下に東京を含む10支局を抱え、総勢80人のスタッフが番組制作に関わる。こうした拠点をCNNは本社のある米アトランタのほか、英ロンドン、アラブ首長国連邦アブダビにも置いている。


グアム島の南東1100キロ付近で台風30号が発生したのは11月4日朝。CNN香港は発生直後から、発達を続けるこの台風に注目した。編集総責任者エレーナ・リーは「上陸すれば被害は深刻になる。社内の気象予報士らと台風の進路について議論を重ねた」と話す。


そんななかで浮かび上がったのがタクロバンだった。


「インフラが脆弱(ぜいじゃく)なタクロバンに上陸すれば大変な事態になると直感した」とリー。スティーブンスは、プロデューサーとカメラマンと3人で7日午前に香港をたち、同日午後6時にタクロバンに入った。台風上陸の約13時間前だ。


CNNは、どんな異常事態が世界中のどこで起きても、24時間以内に現場に到着することにこだわっている。誰よりも先に状況を視聴者に知らせるためだ。


そんなCNNの中でも香港は、気象報道に力を入れてきた。アジア太平洋経済協力会議(APEC)によれば、世界で起きる自然災害の発生件数の7割がアジア太平洋地域に集中している。2004年のスマトラ沖大地震・インド洋津波を取材したリーは言う。


「被災者を描き出し、視聴者を引きつけることで、新たなヒューマンストーリーが生まれる。ニュースの宝庫だ」


実際、台風30号の一連の報道では、CNNの視聴者投稿サイトが音信不通の被災者とその家族を結びつけた、と複数の外国メディアが取り上げた。



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