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[第44回]「リーダーの相性」と「政策の一致」

首脳会談から見える日米関係

三浦俊章 Miura Toshiaki(論説委員兼GLOBE記者)


2期目に入ったばかりの米オバマ大統領と、再登板を果たした安倍首相が最初の首脳会談を開いた。笑顔で握手を交わし、環太平洋経済連携協定(TPP)では共同声明を発表。滑り出しは順調なようにも見える。だが、首相がいうように二人の「相性」は本当に合ったのか。それは政策協調につながるのか。



日本の首相の政治生命は、対米関係に大きく左右されてきた。失敗すれば権力の足元が揺らぎ、うまく回せれば政権は安定した。


「トラスト・ミー(私を信頼してくれ)」とオバマ米大統領に約束しながら普天間基地移設問題で迷走した鳩山由紀夫首相は、「同盟の信頼関係を傷つけた」と批判され、退陣に追い込まれた。一方、長期政権だった中曽根康弘、小泉純一郎両首相は米大統領との良好な関係が支えになった。


再登板した安倍晋三首相が、2月下旬にオバマ大統領との首脳会談を開くにあたって、日本側が、ひそかに心を砕いていたことがあった。


両首脳の「ケミストリー(相性)」が合うかどうかである。


「オバマ大統領は、本来リベラルな人だが政治的な必要があって中道に寄っている。安倍首相は、いまは持論を抑えているが、考え方はもともと保守主義者だ。ケミストリーがいいとは思えない」(外務省幹部)。


そこで考えたのが、小道具を使った親密さの演出だった。


首相はゴルフ好きの大統領に、訪米の手土産として、海外で評判の日本メーカー製ゴルフ・パターを持参した。会談では、首相の祖父・岸信介首相が1957年に訪米した際に、アイゼンハワー大統領とゴルフをしたエピソードを紹介した。当時の両首脳のスコアをたずねられると、首相は「国家機密だ」とジョークで切り返した。


安倍首相は、会談を振り返って、「大変ケミストリーが合った」と満足げだった。


首脳同士の相性といえば、思い浮かぶのは小泉・ブッシュ関係だろう。


記者はワシントン特派員として2001年6月末、この二人の最初の出会いを取材した。


ワシントン郊外の大統領山荘キャンプデービッドで開かれた会談を終えて、両首脳が戸外で待つ記者団の前に姿を現したときのことだ。


突然、小泉首相はブッシュ氏から贈られた野球のサインボールを、ブッシュ氏に投げた。大統領も「おいおい」という表情を浮かべながらも投げ返す。キャッチボールに興じる大統領の表情からは、首相を気に入ったことが見て取れた。


直前の会談で、首相は西部劇映画「真昼の決闘」を話題にした。悪漢と対決する主人公、孤独な保安官に米国を例えてみせて、テキサス出身の大統領の心をとらえていたのである。


「ブッシュ大統領は、初対面が大事だ。自分に合うかどうか感覚的に判断する」と、ホワイトハウスの広報担当者から聞いてはいたが、小泉氏はそのテストに合格したようだった。…続きを読む

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