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[第42回]止まらない共和党の保守化/米国政治の機能不全は続くのか

山脇岳志 Yamawaki Takeshi (編集委員)/山川一基 Yamakawa Ikki(ワシントン特派員)


11月6日に行われた米大統領選挙は、激戦の末、現職のオバマ大統領が再選された。共和党のロムニー候補が掲げた政策は、党内保守派に配慮するあまりに「夢想的」とも批判される内容で、幅広い支持を集め切れなかった。共和党は、敗戦の教訓をどう受け止めるのだろうか。




これまでの米大統領選では「失業率が高いと現職の再選は難しい」というのが常識だった。今回、大統領選直前の10月の失業率は7.9%。今までの「最高」記録である7.4%(レーガン大統領の再選直前の1984年10月の値)より高かった。


それでもオバマ大統領が勝ったのは、共和党のロムニー候補の魅力の乏しさ、選挙直前に米国を襲ったハリケーンの危機管理が評価されたことなど、複合的な要因があるだろう。


ただ、本質的な敗因は、共和党が右傾化しすぎたことにあるのではないか。 時計の針を12年前に巻き戻してみる。 2000年のブッシュ候補(共和)対ゴア候補(民主)の選挙は、歴史上まれにみる接戦だった。


当時、財政は黒字が積み上がっていた。ブッシュ氏は、大規模減税を目玉にしつつも、「思いやりのある保守主義」というスローガンを掲げた。2人の候補は中道の票を取り合う形だった。


ブッシュ氏の当選から1年もたたずに、同時多発テロが起き、米国を恐怖が覆う。おりからの不況への対策や、アフガニスタンやイラクとの戦争で軍事費も跳ね上がり、歳出は急速に膨れあがった。一方で、減税で歳入は減ったため、財政は大幅な赤字に転落した。ブッシュ大統領は、移民政策では寛容な態度をとり、教育政策にも力を入れた。


「政府はできる限り小さいほうがいい。自分たちをほっといてくれ(Leave us alone)」と考える共和党保守派からみるとブッシュ路線は「大きな政府」「介入主義」にみえ、違和感が広がった。


2004年の選挙では、かろうじてブッシュ大統領が再選されたが、2008年には民主党のオバマ氏が「チェンジ」を旗印に圧勝。オバマ大統領への反発もあって、極端に小さな政府を支持する「ティーパーティー(茶会)」運動が広がった。2008年のリーマンショック以降の大規模な景気対策で、米国の財政赤字は過去最大に膨れあがり、これを嫌う保守派は、ますます先鋭化していく。


2010年の中間選挙で勝利した議会共和党は、妥協を排する戦略に出て、オバマ政権が望むような政策はほとんど遂行できなくなった。


今回、共和党候補になったロムニー氏は、マサチューセッツ州知事時代には党内穏健派といわれ、医療保険改革にも取り組んだ。しかし、候補指名を受けるために保守派に近づき、オバマ政権の医療保険改革を批判。副大統領候補には、徹底した歳出削減を掲げ、ティーパーティーが支持するポール・ライアン下院議員を選んだ。



政府の役割をどうみるか。介入主義か非介入か。その理念的対立が、これまで以上に激しい大統領選だった。…続きを読む

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