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[第40回]変わる日本の「難民」像/採用に前向きの企業も

浅倉拓也 Asakura Takuya (朝日新聞大阪社会部記者兼GLOBE記者)


ロンドン五輪では、故国を離れた難民たちが、定住先の代表選手として活躍していた。長く「難民鎖国」と言われた日本でも、次代を担う人材として期待をかけられる難民が増えている。





サントリーに就職予定のクイさん

ベトナム出身のレー・ティ・ニャット・クイさん(24)は東京大学大学院の2年生。バイオテクノロジーの研究室で、病虫害に強い作物をつくる研究をしている。食品会社の商品開発部門への就職を希望し、この春、サントリーから内定を得た。


父親が1990年にボートピープルとして日本にたどりつき、定住資格を得て家族を呼び寄せた。当時クイさんは小学校3年生。最初は国語や社会の授業が、ほとんど分からなかったが、日本語を覚え、公立の高校、大学に進学した。


就職にあたって両親は、「国籍で差別されるのでは」と心配したという。だが、本人は「外国人であることがハンディと思ったことはない。どんな社会へも適応できるし、むしろ強みだ」と自信を持っていた。


サントリー人事部課長の黒木俊彦さんによると、もともと採用は国籍不問だったが、最近、定住外国人の採用例が増えているという。クイさんには、専門知識を生かすと同時に将来はグローバルな舞台で活躍してほしいと期待する。「外国人だから採用したわけではないが、飲料は東南アジアでの販売を広げている。地元の文化や好みを知っていることは、商品開発にも生きる」

ユニクロでアルバイトをしながら正社員をめざすラム・マンさん

ミャンマー難民のリア・チン・ラム・マンさん(36)は、祖国で大学生だった96年に軍事政権の弾圧を逃れて来日した。いまは関西学院大学の3年生。昨秋から兵庫県西宮市にあるユニクロの店舗でアルバイトをしている。「卒業後もこの会社で働きたい。ミャンマーに出店することがあれば、役に立てるかもしれない」


ユニクロは昨年から、難民を対象に約2週間のインターン制度を始め、これまでに10人を採用した。ラム・マンさんもその一人で、終了後アルバイトに転じた。


難民支援の一環として始まった制度だが、正社員への道も開かれている。ユニクロは今春、国内採用した新入社員約140人のうち20人が留学生ら外国籍。CSR部のシェルバ英子さんは「難民の学生は教育レベルも高く、祖国で活躍していた人が多い。将来は正社員採用者がでるよう期待している」と話す。

(次ページへ続く)

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