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世界と日本を考える

[第15回]民主党の政権奪取で、26歳大学院生に海外メディアが殺到する理由
流布する誤解を解くために

トバイアス・ハリス Tobias Harris マサチューセッツ工科大博士課程(政治学専攻)

 

最初に大手メディアから接触があったのは07年9月。安倍晋三首相の辞任を受け、WSJアジア版に「自民党の次の一手」について寄稿を求められた。08年3月、日本銀行の総裁人事をめぐる民主・自民の対立が頂点に達した際、ビジネスニュース専門局CNBCアジアで初めてテレビに出演した。

今後も、海外メディアにコメントを求められることになりそうだ。私自身、民主党に関して広く流布している様々な誤解を解いていくのは、やぶさかではない。

私に声をかけてきたメディアがニュースの受け手に想定するのは、海外の投資家たちだ。彼らと話をしていて、民主党の経済運営に強い疑念を抱いているのに気づいた。

政権を取ったとはいえ、民主党の実像は海外の政府や投資家、メディアにほとんど知られていないのが実情だ。
たとえば、「民主党は、元自民党と旧社会党の議員たちの『寄せ集め』(ragbag)」という海外メディアの報道をよく見かける。総選挙前の時点でさえ、両党出身者を合わせても2割に満たない数であったにもかかわらず、である。

いわゆる「小沢ガールズ」に注目する一方で、小沢一郎幹事長が全国の候補者を党のマニフェストのもとに取りまとめ、民主党ブランドを築き上げた功績をほとんど無視している。

私が心配なのは、民主党が、海外のメディアに自分たちがどう報じられるのか、無頓着なことだ。
その最たる例が、月刊誌「Voice」9月号に掲載された鳩山由紀夫代表の論文をめぐる混乱である。要旨が、ニューヨーク・タイムズ電子版に転載されたが、「この党は、資本主義に敵対的な反グローバル主義者の集まりで、外交政策はアンチ米国だ」という最もひどいイメージを払拭(ふっ・しょく)するどころか、かえって強化してしまった。

海外への発信、システム化を

鳩山代表の考え方を海外に発信すること自体は良いことだが、やり方がまずかった。論文が直訳や要約された場合、外国人の読者にどのような受け取り方をされる可能性があるのか。外部の専門家にチェックを受けるべきだったのだ。

民主党は、海外メディアへ発信するシステムをつくる必要がある。
日本の有権者にわかってもらえればそれでいい、という考え方は危うい。海外、特にワシントン界隈(かい・わい)でネガティブな情報が流れると、それは日本の特派員たちを通じて日本でも報道され、党の人気にダメージを与えることになるからだ。

米国の歓心を買うために民主党が「対等な日米関係」という安全保障上のスタンスを変える必要は全くない。ただ、自民党とは違うアプローチをとることが、長期的に見ればより堅固な日米関係を築けるというメッセージを、正確に直接、海外メディアに伝えることが必要なのだ。

経済では、米国との間で自由貿易協定(FTA)を促進する政策が米国の輸出企業にもたらす恩恵をもっと強調すればいい。

今回の政権交代は、日本が新しい道を選び取り、「衰退」の流れを逆転させる潜在的な力があることを示した。勝利した民主党は、それをしっかりと海外に伝える責任も負っている。

(訳・構成 GLOBE副編集長 浜田陽太郎)

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